Yahoo!ニュース

マッドン監督のダルビッシュ続投は、正しい判断だったのか。地区優勝は消滅し、ワイルドカードも風前の灯

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジョー・マッドン監督(左)とダルビッシュ有 Feb 13, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 9月22日、シカゴ・カブスの地区優勝が消滅した。ワイルドカード・レースでも、2番手のミルウォーキー・ブルワーズまで4ゲーム差。残りは6試合しかない。

 前日まで、カブスは5連敗していた。この日、勝っていても、ポストシーズン進出が厳しかったことに変わりはない。ただ、9回表を迎え、カブスは2対1とリードしていた。

 ジョー・マッドン監督が、9回表もダルビッシュ有に投げさせると決めたのは、8回裏だ。この回の先頭打者だったダルビッシュに代打を起用せず、そのまま打たせた(結果は二塁ゴロ)。ダルビッシュは、8イニングで96球を投げていた。

 9回表、ダルビッシュは先頭打者に三塁打を打たれ、次の打者の犠牲フライで同点とされた。そこから、シングル・ヒット、盗塁、二塁打で逆転され、ペドロ・ストロップと交代した。ストロップは最初の打者を歩かせたものの、続く2人を三振に仕留めた。その裏、カブスはアンドルー・ミラー(セントルイス・カーディナルス)から得点できず、2対3で敗れた。

 1点を失ったところまではともかく、1死走者なしか1死一塁となった時点で、ダルビッシュを交代させていれば、同点で9回表を終えられたかもしれない。なかでも、盗塁については、こんなデータがあった。一塁走者のトミー・エドマンは、それまで13盗塁を決め、失敗は1度。一方、ダルビッシュは23盗塁を決められていて、阻止は2度しかなかった。しかも、シーズン3登板目以降の阻止は皆無だ。

 もっとも、クローザーのクレイグ・キンブレルは、9月19日に故障者リストから復帰後、2登板続けて得点を許していた(故障者リストに入る前を含めると、3登板連続)。9月19日と21日に被本塁打が計3本。どちらの試合も、相手はカーディナルスだった。また、ストロップの防御率は5.08。8月以降に限っても4.76と高く、失点は15登板中5試合を数えた。

 なお、マッドン監督の5年契約は、今シーズンで終わる。契約延長の話は出ていないようだ。シカゴ・トリビューンのポール・サリバンによると、マッドン監督は9月上旬に「次のキャリアはバスの運転手かも」とジョークを飛ばしたという。MLB.comのAJ・キャッサベルらは、サンディエゴ・パドレスの新監督候補の一人として、マッドンの名前を挙げている。

 マッドンの監督就任後、カブスは4年続けてポストシーズンへ進出し、2016年は108年ぶりにワールドシリーズを制した。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事