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先月までメキシコでプレーしていた29歳が、ポストシーズンで疾走する!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジョニー・デービス(タンパベイ・レイズ)Sep 20, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 タンパベイ・レイズには、ジョニー・デービスという選手がいる。29歳の外野手だ。9月11日にメジャーデビューした。

「オールド・ルーキー」とはいえ、今シーズンの最高齢デビューではない。ライアン・コート(シアトル・マリナーズ)は31歳。他にも、3人が30歳でデビューしている。ただ、開幕から8月中旬まで、デービスはメキシカン・リーグでプレーしていた。レイズに入団したのは、デビューの2週間前だ。

 6年前のドラフトで、デービスはミルウォーキー・ブルワーズから22巡目・全体662位指名を受けた。だが、昨年の4月末に自ら申し出て退団し、カンザスシティに本拠を置く独立リーグの球団で11試合プレーした後、メキシカン・リーグへ移った。

 今シーズン、メキシカン・リーグでは、2球団で計106試合に出場し、打率.300と出塁率353、4本塁打と54盗塁を記録した。このスタッツからわかるとおり、デービスのセールス・ポイントはスピードだ。ブルワーズ時代も、マイナーリーグの通算419試合で139盗塁を決めた。

 レイズでは、出場5試合のうち4試合が代走。初出場の試合はピック・オフで刺され、盗塁は一度も記録していないが、2試合目は外野手として途中出場し、三塁打を打った。スタットキャストによると、この時の最速スピードは秒速30.5フィート。これは、極めて速い。また、2試合目以降は4度ともホームイン。4試合目は二塁からサヨナラのホームを踏み(写真はその直前)、5試合目はサヨナラ本塁打で生還した。

 ちなみに、メジャーリーグでバットを持ってプレーしたのは、ここまで1打席だけだ。デービスはスイッチ・ヒッターだが、右打席にはまだ立っていない。デビュー前には、レイズ傘下のAAで5試合、AAAでポストシーズンの1試合に出場したが、こちらも起用はすべて代走。打席には2度しか立たなかった。

 レイズは、オークランド・アスレティックスとクリーブランド・インディアンズとともに、ワイルドカードの2枠を争っている。ポストシーズンへ進出した場合は、同じ外野手であるギレルモ・ヘレディアに代わって、デービスがロースターに入りそうだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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