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シーズン途中に移籍し、新天地で二桁本塁打は6人。なかには20本以上の選手もいるが…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ニコラス・カステヤノス(シカゴ・カブス)Sep 3, 201(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 シーズン途中に移籍し、新天地で10本以上のホームランを打っている選手は、6人を数える。移籍後に21本塁打のケビン・ピラー(サンフランシスコ・ジャイアンツ)をはじめ、半数の選手は15本を超える。

 ただ、15本塁打以上の3人は、いずれも、移籍前にホームランを打っていない。ピラーは4月2日に、トロント・ブルージェイズからジャイアンツへ移った。ブルージェイズでは、5試合で16打数1安打だ。17本塁打のトム・マーフィー(シアトル・マリナーズ)に至っては、移籍前の出場すらない。マーフィーはジャイアンツの開幕ロースターに入れず、開幕戦の翌日にマリナーズへ放出された。ジャイアンツには、その4日前にコロラド・ロッキーズから移ったばかりだった。16本塁打のトラビス・ダーノー(タンパベイ・レイズ)は、5月10日の移籍前に、ニューヨーク・メッツで10試合、ロサンゼルス・ドジャースで1試合(1打席)に出場したが、ホームランはなかった。ちなみに、ピラーとマーフィーの本塁打は、どちらもすでにキャリアハイだ。ダーノーは、2年前に記録したキャリアハイと並んでいる。

筆者作成
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 他の3人のうち、マリナーズでマーフィーとチームメイトとして過ごした2人、新天地で11本塁打のジェイ・ブルース(フィラデルフィア・フィリーズ)と10本塁打のエドウィン・エンカーナシオン(ニューヨーク・ヤンキース)も、本格的なトレード市場の幕が開く前に移籍した。ブルースは6月2日、エンカーナシオンは6月15日。トレードの時点で、エンカーナシオンはリーグ最多の21本塁打を記録していた(「本塁打リーグ1位のエンカーナシオンが移籍。2球団でプレーして本塁打王は過去何人?」)。

 そのなかで、移籍後に12本塁打のニコラス・カステヤノス(シカゴ・カブス)だけは、オールスター・ブレイク後、7月31日にチームを移った。にもかかわらず、カブスの選手となってからの本塁打は、デトロイト・タイガースで打った本数を上回る。タイガースの100試合で11本塁打に対し、カブスでは最初の27試合に同数のホームランを打った。移籍前後のスラッシュライン(打率/出塁率/長打率)も、.273/.328/.462と.346/.378/.709。サンプル数は異なるものの、別人のような数値が並ぶ。8月の11本塁打はリーグ3位タイ。20長打と82塁打はリーグの誰よりも多かった。

 なお、今シーズンが終わると、カステヤノスはFAになる。カステヤノスの獲得にあたり、カブスは「レンタル」の費用として2人の投手、2年前のドラフト全体30位と昨年の78位を手放した。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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