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本塁打リーグ1位のエンカーナシオンが移籍。2球団でプレーして本塁打王は過去何人?

宇根夏樹ベースボール・ライター
エドウィン・エンカーナシオン Jun 3, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 6月15日、シアトル・マリナーズからニューヨーク・ヤンキースへ、エドウィン・エンカーナシオンが移った。エンカーナシオンは移籍までに21本塁打を記録し、ア・リーグ本塁打ランキングで1位に立っている。ヤンキースもア・リーグの球団なので、エンカーナシオンには本塁打王のチャンスがある。昨シーズンまで7年続けて30本塁打以上を打ち、2010~19年の計322本はこのディケイド(2010年代)の最多ながら、これまで本塁打王を獲得したことはなかった。エンカーナシオンが手にしたタイトルは、3年前の打点王だけだ。

 ベースボール・リファレンスによると、トレードされた時点のシーズン本塁打がリーグ1位だったのは、2008年のアダム・ダン以来だという。8月11日にシンシナティ・レッズからアリゾナ・ダイヤモンドバックスへ移った時、32本塁打のダンは、ライアン・ハワードと並び、ナ・リーグの本塁打ランキング1位にいた。

 ダイヤモンドバックスも、レッズと同じナ・リーグの球団だ。ダンは移籍後に8本塁打を打ち、シーズン本塁打を4年続けてちょうど40本(5年連続40本以上)とした。けれども、初の本塁打王はならず。ハワードに8本差をつけられ、2位に終わった。

 今シーズン、エンカーナシオンが本塁打王を獲得すれば、シーズンに2球団以上でプレーした選手としては、1896年のビル・ジョイス(13本/ナ・リーグ1位タイ)、1915年のブラッゴ・ロス(7本/ア・リーグ)、1951年のガス・ザーニアル(33本/ア・リーグ)に続く4人目となる。ザーニアルはシカゴ・ホワイトソックスとフィラデルフィア・アスレティックスでプレーしたが、ホワイトソックスでは4試合に出場しただけで、ホームランはなかった。

 エンカーナシオンの約2週間前に、マリナーズからフィラデルフィア・フィリーズへ移籍したジェイ・ブルースは、「マリナーズから獲得したスラッガーが、早くも大当たり。最初の4試合でホームラン4本」でも書いたとおり、両球団のリーグが異なるため、本塁打王はまず獲得できない。

 ブルースがマリナーズで打った最後のホームランは、通算300本目だった。エンカーナシオンはその9日後に通算400本目のホームランを記録し、そこから1本を加えたところで、マリナーズを去った。

 なお、ダンとエンカーナシオンとブルースの3人は、2008年にレッズでチームメイトとして過ごした。エンカーナシオンとブルースは、レッズとマリナーズだけでなく、2017年にクリーブランド・インディアンズでも、ともにプレーしている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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