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MLB球団とNHL球団が、プロスペクトの昇格を巡って論争。月影先生もびっくり!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ザック・コリンズ(左)とA.J.パック Jul 9, 2017(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 8月20日、MLB球団のオークランド・アスレティックスが、AAAからA.J.パックを昇格させ、ツイッターで発表した。それに、NHL球団のサンノゼ・シャークスが反応し、論争(?)が起きた。NBCスポーツ・ベイ・エリアのジェシカ・クレインシュミットが報じている。

 両球団のやりとりはこうだ。

 A'sの発表に対し、シャークスは「パックだって?? 8月なのに???」とツイート。アイス・ホッケーのパックを使うには、季節外れというわけだ。これに対し、A'sが「うん。算数の時間です:A.J.は6フィート7インチ。ホッケーのパック何個分でしょう?」と返すと、シャークスは「算数の話をしてるんじゃない。でも、そう言うなら…A.J.はパック26.33333333333333333333333333333333333333333333333333333333333333333個分の高さ」と応じた。さらに、A'sはビッグ・シャック(マイケル・ダパー)のラップ曲「Man's Not Hot」から、「素早い計算(QUICK MATHS)」と歌う部分の映像をアップした。

 A'sとシャークスは、どちらもカリフォルニア州の北部に本拠を構える。身長がホッケーのパック26.3333…個分というのは、平積みではなく、直径の合計らしい。実際に並べて検証するには、必ずしもリンクの上でなくてもいいが、人間のパックに横たわってもらう必要がある。

 パックは、24歳の左投手だ。3年前のドラフトで、A'sから全体6位指名を受けた。4シームの最速は、ダッタン人の矢よりも速いかどうかはともかく、100マイル近い。変化球はスライダーをメインとし、カーブとチェンジアップも投げる。

 長身の本格派左腕で、制球に課題を残すことから、パックはランディ・ジョンソンと比較されることもある。ランディは303勝を挙げ、殿堂入りもしているが、若い頃は制球に苦しんだ。マーキュリー・ニューズのマーティン・ギャレゴスによると、A'sのボブ・メルビン監督も、昨年のスプリング・トレーニングでパックについて、ランディを彷彿させると語ったという。メルビンとランディは、2007~08年のアリゾナ・ダイヤモンドバックスで、監督と選手の関係だった。

 来シーズンから、パックはA'sのローテーションに加わる見込みだ。ただ、今回はリリーフとして起用される。その資質を発揮すれば、ポストシーズン進出をめざすA'sの力となる。

 なお、「ダッタン人の矢よりも…」は、シェークスピアの「真夏の夜の夢」でパックが発するセリフだ。「ガラスの仮面」の北島マヤも、この役を演じている。ということで、タイトルの「月影先生」については、説明不要だろう。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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