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イチロー以来となる「ルーキーの首位打者」が誕生するか。ナ・リーグの打率トップはデビュー1年目

宇根夏樹ベースボール・ライター
ブライアン・レイノルズ(ピッツバーグ・パイレーツ) Aug 7, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 18年前、ア・リーグの首位打者は、メジャーリーグ1年目のイチローが獲得した。打率.350を記録し、2位のジェイソン・ジアンビに8厘差をつけた。

 ナ・リーグとア・リーグにおいて、デビューイヤーの首位打者は、イチローしか成し遂げていない。ナ・リーグ1年目の1876年に首位打者を獲得したロス・バーンズは、その前にナショナル・アソシエーションでプレーしている。ア・リーグ1年目の1901年に首位打者のナップ・ラジョイは、ナ・リーグの球団から移籍した。

 ルーキーに枠を広げても、イチローの他には、1964年のア・リーグ首位打者、トニー・オリバがいるだけだ。この年のオリバはメジャーリーグ3年目ながら、1962~63年の出場は計16試合だった。リーグ1位の打率.323、217安打、109得点、43二塁打に加え、オリバは6位タイの32本塁打と9位タイの94打点、2位タイの9三塁打、11位タイの12盗塁も記録した。

 現在、ナ・リーグでは、ルーキーのブライアン・レイノルズ(ピッツバーグ・パイレーツ)が、打率トップに立っている。8月13日時点の打率は.338。2位のクリスチャン・イェリッチ(ミルウォーキー・ブルワーズ)は.333、3位のジェフ・マクニール(ニューヨーク・メッツ)は.332だ。

 レイノルズは、昨年1月15日にアンドルー・マッカッチェン(現フィラデルフィア・フィリーズ)の交換要員としてサンフランシスコ・ジャイアンツから移籍し、今年4月20日にメジャーデビューした。前半戦の打率.342は250打席以上のリーグ2位――1位は.349のマクニール――ながら、規定打席(チームの試合数×3.1)に届いておらず、この時点ではランキングに名前がなかった。首位打者を獲得すれば、ルーキーとしては史上3人目、メジャーリーグ1年目としては2人目となる。どちらも、ナ・リーグでは史上初だ。

 オリバもイチローも、新人王を受賞した。ただ、レイノルズは首位打者のタイトルを手にしても、新人王に選ばれるかどうかはわからない。今シーズンのナ・リーグ新人王レースは、極めてハイレベルな激戦だ。ピート・アロンゾ(メッツ)はリーグ3位の38本塁打を打っていて、マイク・スロカ(アトランタ・ブレーブス)は2位の防御率2.32を記録している。さらに、打率.317、22本塁打、16盗塁のフェルナンド・タティースJr.(サンディエゴ・パドレス)もいる。新人王投票で、レイノルズは3位に入れなくてもおかしくない。

筆者作成
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ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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