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1シーズンに2度ノーヒッターを達成「された」のは、マリナーズが何チーム目? 2度とも継投は史上初

宇根夏樹ベースボール・ライター
ノーヒッター達成の4投手と捕手のM.マルドナード(中央)Aug 3, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 シアトル・マリナーズが、今シーズン2度目のノーヒッターを達成された。7月12日のテイラー・コールフェリックス・ペーニャ(ロサンゼルス・エンジェルス)に続き、8月3日のノーヒッターも継投によるものだ。ヒューストン・アストロズの4投手、アーロン・サンチェスウィル・ハリスジョー・ビアジーニークリス・デベンスキーに封じ込まれた。ちなみに、サンチェスとビアジーニーは、7月31日のトレードで揃ってトロント・ブルージェイズから移り、この日がアストロズ初登板だった。

 1シーズンにノーヒッターを2度達成されたチームは、マリナーズが初めてではない。ナ・リーグとア・リーグを合わせて、マリナーズは16チーム目だ。1度目から2度目まで、マリナーズは1ヵ月経っていないものの、これも最短のスパンではない。連鎖反応というわけではないだろうが、5チームのスパンは、マリナーズよりも短かった。なかでも、2015年のロサンゼルス・ドジャースは10日間に2度、1923年のフィラデルフィア・アスレティックスは4日間に2度。1917年のシカゴ・ホワイトソックスに至っては2日連続だ(2度目はダブルヘッダーの第2試合なので、2試合連続ではない)。

筆者作成
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 今シーズンのマリナーズは大きく負け越しているが、必ずしも、弱いチームがノーヒッターを2度達成されているわけでもない。1917年のホワイトソックスは、両リーグ最多の100勝を挙げ、ワールドシリーズも4勝2敗で制した。2010~15年の3チームは、いずれも地区優勝を飾っている。

 1917年のホワイトソックスの場合、ノーヒッターとノーヒッターの間――4対8で敗れた――を含む3試合とも、スターティング・ラインナップはほとんど変わらず。「1番・ライト」と「9番・投手」以外の7人は、打順もポジションもまったく同じだった。「4番レフト」には、シューレス・ジョー・ジャクソンが入っていた。

 マリナーズも、スターティング・ラインナップの野手9人中6人は、7月12日も8月3日も共通するが、打順もポジションも同じ選手は「4番・一塁」のダニエル・ボーゲルバックしかいなかった。1度目のノーヒッターに「8番レフト」として出場したマック・ウィリアムソンは、その5日後に解雇された。「9番・二塁」のディー・ゴードンは、7月23日から故障者リストに入っている。先発登板したマイク・リークは、7月31日のトレードで、アリゾナ・ダイヤモンドバックスへ移った。

 一方、2度目のノーヒッターに「8番レフト」として出場したライアン・コートは、7月26日に31歳でメジャーデビューを果たした。「9番センター」のキオン・ブロクストンは、7月21日にボルティモア・オリオールズのロースターから外され、ウェーバーにかかっていたところを、マリナーズが獲得した。

 なお、1シーズンにノーヒッターを3度達成されたチームは、まだ存在しない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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