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カイクルが1300万ドルで契約。断ったクオリファイング・オファーは1790万ドルだったが…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ダラス・カイクル(左)とその恋人 22 Feb 2018(写真:Shutterstock/アフロ)

 シカゴ・カブスに入団したクレイグ・キンブレルに続き、ダラス・カイクルがアトランタ・ブレーブスと契約する。MLB.comのマーク・フェインサンドによれば、ブレーブスはカイクルと1年契約を交わし、残りのシーズンに1300万ドルを払うという。キンブレルの契約については、先日、「道は続くよ、レッドソックスからカブスへ!? キンブレルの前には、リゾーやレスター、上原浩治も」で書いた。

 キンブレルもそうだが、昨シーズン終了後にFAとなったカイクルは、それまで在籍していた球団から1年1790万ドルのクオリファイング・オファーを申し出られ、それを断った。ブレーブスとの契約は、一見するとクオリファイング・オファーよりダウンのように思える。

 確かに、カイクルが手にする金額についてはそのとおりだ。けれども、契約期間あるいは実働期間という点からすると、そうではない。ポイントは「残りのシーズン」にある。シーズンはすでに3分の1以上が終わっているので、1790万ドルの残り分は1100万ドル強となる。ブレーブスが支払う額は、それを上回る。シーズン全体に換算すると、2000万ドル前後だ。

 一方、ニューヨーク・ヤンキースは、カイクル(と代理人のスコット・ボラス)に1100~1200万ドルの契約を提示したらしい。MLBネットワークのジョン・ヘイマンが報じている。こちらは、クオリファイング・オファーの残り分とほぼ同額だ。

 すべてが報道のとおりであれば、ブレーブスとヤンキースの差は、最大でも200万ドルに過ぎない。カイクルが好投し、ヤンキースで先発投手が足りなくなった場合、ニューヨークのメディアやファンから、結果論とはいえ、批判の声が上がる可能性もある。

 昨シーズン、カイクルの防御率3.74は規定投球回以上の30位ながら、ファングラフスのデータによると、ゴロ率53.7%は最も高かった。また、9イニング平均0.79本の被本塁打は9番目に少なかった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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