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監督の弟が、ドラフトで指名される!? 息子の間違いじゃなくて

宇根夏樹ベースボール・ライター
ロッコ・バルデリ(左)とマーウィン・ゴンザレス May 16, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 監督の息子がドラフトで指名されることは、そう珍しくない。

 ブルース・ボウチー監督(サンフランシスコ・ジャイアンツ)は、1995~2006年にサンディエゴ・パドレスで監督を務め、2007年からはジャイアンツで指揮を執っている。長男のグレッグは1997年と1998年と2002年、次男のブレットは2010年にドラフト指名を受けた。計4度のうち3度は父のいる球団に指名されたが、長男の2度目はテキサス・レンジャーズからだった。ロン・ガーデンハイヤー監督(デトロイト・タイガース)とテリー・フランコーナ監督(クリーブランド・インディアンズ)も、現在とは違う球団を指揮していた時、その球団が彼らの息子を指名した。フランコーナの息子は入団していない。

 過去にもこういった例はあり、あるいは、3人以外の現役監督にも、ドラフトにかかった息子がいるかもしれない。ただ、息子ではなく、弟がドラフトで指名された監督となると、これまでにいただろうか。皆無と断言することはできないが、いたとしても極めて稀なはずだ。

 ロッコ・バルデリ監督(ミネソタ・ツインズ)は、そうなる可能性がある。弟のダンテが、ボストン大学にいる。3年前、ダンテは39巡目・全体1157位でフィラデルフィア・フィリーズから指名され、それを断って高校から大学へ進んだ。この時、ロッコはすでに選手としてのキャリアを終え、タンパベイ・レイズで一塁コーチを務めていたが、監督として采配を振るのは、今シーズンが初めてだ。

 ロッコは3兄弟の長男で、ダンテは三男。年齢は16歳離れている。加えて、昨年10月に「1980年代生まれの監督が初めて誕生。現役最年長とは28歳差。2人はかつて同じチームの監督と選手」で書いたとおり、ロッコは現役監督のなかで最も若い。数年後、バルデリ兄弟は監督と選手として、同じチームのユニフォームを着ているかもしれない。

 2人とも右投げ右打ちの外野手で、同じ高校に通った。ルックスもよく似ている。ただ、どの球団から指名されるにせよ、弟は兄ほど高順位ではないだろう。19年前、ロッコはタンパベイ・デビルレイズから全体6位指名を受け、高校からプロ入りした。ダンテは大学で通算129試合に出場し、打率.206&出塁率.332、3本塁打、31盗塁を記録している。

 なお、ボウチー、ガーデンハイヤー、フランコーナの息子のなかで、メジャーリーグでプレーしたのは、ボウチーの次男、ブレットだけだ。2014~15年に、リリーフ投手として父に起用され、計7試合に登板した。マーキュリー・ニューズのアンドルー・バッガリーは、2016年2月に「オフに結婚したブレットは、大学院に入って連邦職員をめざす」と報じている。

 また、ガーデンハイヤーの息子、トビーはツインズ傘下の1A+で監督を務めている。彼の父は、1991年から2014年までツインズの監督だった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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