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史上初の「エルビス vs. エルビス」。勝ったのはどっち!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
エルビス・アンドゥルースとジョナサン・ルクロイ(右)Apr 5, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 5月4日、8回裏2死一、二塁の場面で、エルビス・アンドゥルース(テキサス・レンジャーズ)が打席に入った。この時、マウンドにはエルビス・ルチアーノ(トロント・ブルージェイズ)がいて、メジャーリーグ史上初の「エルビス vs. エルビス(Elvis vs. Elvis)」が実現した。

 アンドゥルースはメジャーリーグ11年目のベテランだが、先月、「2000年生まれのメジャーリーガーが初登場の一方で、1980年より前に生まれた選手は1人に」で書いたように、ルチアーノは3月末にデビューしたばかりだ。ベースボール・リファレンスによると、「エルビス」のファーストネームを持つメジャーリーガーは、彼らの他に2人しかいない(ラストネームは皆無)。内野手のエルビス・ペーニャは2000~01年に出場25試合、投手のエルビス・アラウホは2015~16年に72登板(その翌年、中日ドラゴンズで6登板)。アラウホとアンドゥルースの時期は重なるが、アラウホがレンジャーズ戦で投げたことはなく、アンドゥルースはレンジャーズ一筋だ。

「エルビスvs.エルビス」の初対戦は、ルチアーノがアンドゥルースを浅いセンターフライに仕留めた。だが、翌日の対戦では、アンドゥルースがルチアーノからセンターへ抜けるヒットを打ち、走者2人を生還させた。8月12~14日も、彼らは顔を合わせる可能性がある。

 ルチアーノは「ブルー・スエード・シューズ」ならぬブルーのスパイクを履いていたが、エルビス・プレスリーにちなんで名づけられたわけではない。ジ・アスレティックのジョン・ロットによると、同じ歌手でもエルビス・クレスポかエルビス・マルティネスから来ていて、ルチアーノ自身はどちらかよく知らないという。アンドゥルースも、プレスリーとは関係ない。彼の母はエルビア、父はエミリオ、姉はエミリー、兄2人はエリクソンとエロルド(アンドゥルースの息子はエルビス)。全員、ファーストネームは「E」から始まる。

 メジャーリーグでプレーした「プレスリー(Presley)」はさらに少なく、ジム・プレスリー(1984~91年)とアレックス・プレスリー(2010~17年)の野手2人だけだ。アラウホとアレックスは対戦していない。また、現在はヒューストン・アストロズのブルペンにいるライアン・プレスリー(2013年~)は綴りが違う。Presleyではなく、Presslyだ。

筆者作成
筆者作成

 なお、プリンスにちなんだ名前については、2年前にこちらで書いた。

プリンス追悼に代えて――彼にちなんだ名前を持つメジャーリーガーなど

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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