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大物の予感!? メジャーリーグ初本塁打は、ホームランをもぎ捕られた直後の打席

宇根夏樹ベースボール・ライター
クリス・テイラー(左)とニック・センゼル Mar 15, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 5月4日、前日にデビューしたニック・センゼル(シンシナティ・レッズ)が、キャリア初のホームランを記録した。この日の3打席目、センゼルが打ったボールは、ライトのスタンドへ飛び込んだ。

 ケビン・ピラー(サンフランシスコ・ジャイアンツ)がいなければ、センゼルの初ホームランはその前の打席だったはずだ。スタットキャストによると、センターへ弾き返したボールの初速は106マイル、角度は32度。ホームランになる確率は90%を超える。だが、その先には「スーパーマン」のニックネームを持つピラーがいた。ピラーはフェンスをよじ登り――鳥や飛行機のように飛んだのではなく――打球をグラブに収めた。位置はフィールドのほぼ最深部。すぐ横には404フィートと表示してある。

 前日の初ヒットは三塁手の前に転がるボテボテの一打ながら、初ホームランが幻となった直後の打席にホームランを打ったのは、スーパースターとなっていく幕開けなのか。これまで、センゼルはトップ・プロスペクトとして評価されてきた。3年前のドラフトで全体2位指名を受け、今シーズンの開幕前のプロスペクト・ランキングでは、ベースボール・アメリカ、ベースボール・プロスペクタス、MLB.comのいずれでも、全体10位以内に入っていた。

 なお、センゼルのあわや1試合2本塁打はデビューから2試合目のことだが、デビュー戦で2本のホームランを打った選手もいる。2016年のトレバー・ストーリー(コロラド・ロッキーズ)が5人目だ。

筆者作成
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 また、タイラー・オースティン(現ジャイアンツ)とアーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)は、3年前の同じ試合で、ヤンキースの「7番・一塁」と「8番ライト」としてデビューし、ともに最初の打席でホームランを打った。2者連続の初打席ホームランは、彼らしか記録していない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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