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本家も成し得なかった省エネ完封。81球の「マダックス」

宇根夏樹ベースボール・ライター
カイル・ヘンドリクス(シカゴ・カブス)May 3, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 5月3日、カイル・ヘンドリクス(シカゴ・カブス)が「マダックス」を成し遂げた。これは、先発投手による100球未満の完封(9イニング以上)のことだ。昨年8月に「マダックスより多くの「マダックス」を記録する投手は出てくるのか」でも書いたとおり、どの試合でも投球数をカウントするようになった1988年以降、グレッグ・マダックスが記録した13度の「マダックス」は、ずば抜けて多い。

 けれども、ヘンドリクスが初めて記録した「マダックス」――完封は3年ぶり3度目――は、本家を上回る。81球以下の完封は、過去31シーズン(1988~2018年)に7度しか演じられておらず、そこにマダックスの名前はない。

筆者作成
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 マダックスによる「マダックス」の最少投球は、1997年7月2日の84球だ。そこから3登板目の7月22日は、77球で9イニングを投げきったが、4回裏に1死三塁からの内野ゴロで1点を失った。

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 マダックスとヘンドリクスは、どちらも「プロフェッサー」のニックネームを持つ。カブスの投手として、メジャーリーガーとしてのキャリアをスタートさせたことも、2人は共通する。

 ヘンドリクスがあと12度の「マダックス」を積み重ねる可能性はゼロに近いが、マダックスがカブス時代に記録した3度――1987年の初完封は投球数が不明なので、実際は4度ということもあり得る――なら、あるいは肩を並べられるかもしれない。ヘンドリクスは3月下旬に、カブスと4年5550万ドル(+球団オプション1年)の延長契約を交わした。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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