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連敗を6で止めたのは、史上3人目の「トリプル2」

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジェイソン・ヘイワード(シカゴ・カブス)Apr 6, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 4月6日、シカゴ・カブスは開幕戦以来となるシーズン2勝目を挙げ、連敗を6で止めた。この試合のヒーローを一人選ぶなら、ジェイソン・ヘイワードだろう。「7番ライト」として出場したヘイワードは、1打席目に2ラン本塁打を打つと(写真)、2打席目は内野安打に続いて盗塁を決め(次打者のホームランで生還)、3打席目は四球&盗塁、4打席目はソロ本塁打、5打席目は四球を記録した。

 1908年以降の「1試合2本塁打&2四球&2盗塁」は、ベースボール・リファレンスによると、1987年7月11日のハワード・ジョンソンと2017年8月17日のエンダー・インシアーテ(アトランタ・ブレーブス)しかいなかった。ヘイワードは3人目の「トリプル2」――日本で言う「トリプル3」(打率3割&30本塁打&30盗塁)に引っかけ、筆者が勝手にそう呼んでいるだけだが――達成者ということになる。ちなみに、1人目のHoJo(ホージョー)は3四球だ。「トリプル2」を達成後、最後の打席は敬遠四球で出塁した。

 1試合に「2四球&2盗塁」や「2本塁打&2四球」はそう珍しくないが、「2本塁打&2盗塁」は少ない。過去9シーズン(2010~18年)にこれを記録したのは、インシアーテを除くと、2015年7月30日のブランドン・フィリップスと同年10月1日のマニー・マチャド(現サンディエゴ・パドレス)だけだ。フィリップスは4安打で四球がなく、マチャドは3安打で1四球だった。

 メジャーリーグ10年目のヘイワードも、過去に「2四球&2盗塁」あるいは「2本塁打&2四球」は記録しているが(前者は2度)、「2本塁打&2盗塁」はなかった。

 ヘイワードのシーズン二桁本塁打&二桁盗塁は、2012年の20-20(20本塁打&20盗塁)を含め、4度を数える。だが、2015年のオフに8年1億8400万ドルでカブスと契約してからは、「守備の人」と化していた。カブス入団後、ヘイワードは2016年のワールドシリーズ第5戦で2盗塁を決めたものの、レギュラーシーズンにおいては、1試合2本塁打も、1試合2盗塁も、今回が初めてだ。

 今シーズン、ヘイワードが復調を果たせば、「トリプル2」はその幕開けとして記憶されるだろう。可能性はある。ヘイワードは29歳だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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