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元本塁打王は開幕からヒットが出ず、元クローザーは1アウトも取れず

宇根夏樹ベースボール・ライター
トレバー・ローゼンタール(ワシントン・ナショナルズ)Mar 16, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 実績ある2人が、開幕から苦しんでいる。2013年と2015年に本塁打王を獲得したクリス・デービス(ボルティモア・オリオールズ)は、開幕から23打席ノーヒット。4四球(うち敬遠1)を記録しているので出塁率は.174ながら、打率と長打率は.000のままだ。半分近い11打席で三振を喫している。

 一方、2014~15年に2年続けて45セーブ以上を挙げたトレバー・ローゼンタール(ワシントン・ナショナルズ)は、3登板して計7人の打者と対戦したものの、記録上は0.0イニングだ。7人をいずれも出塁させて1アウトも取れず、3登板とも得点を許している。内訳は、被安打4と与四球3、失点は7だ。

 昨シーズン、デービスは128試合に出場し、打率.168、16本塁打、192三振を記録した。この打率は、ロブ・ディアー(1991年)の.179を下回り、シーズン500打席以上の歴代ワーストに位置する。現在33歳の年齢からすると、昨シーズンの途中から再建を始めたオリオールズにとって、デービスは不要な存在だろうが、7年1億6100万ドルの契約は折り返し地点にすら達しておらず、2022年まで残っている。

 ローゼンタールの契約は、1年700万ドルだ。2017年8月にトミー・ジョン手術を受け、昨シーズンは全休した。復帰直後ということを考えれば、デービスよりも希望はある。スタットキャストのデータによれば、4シームの平均球速は、手術前と同じく98マイルを超えている。年齢もまだ28歳だ。

 ただ、ローゼンタールの制球難は今に始まったことではない。2014年の与四球率は5.37、2016年は6.47だった。デービスの打率ほどではないとはいえ、2016年の与四球率はこのシーズンに40イニング以上を投げた385投手のなかで最も高かった。5月12日~7月3日の22登板中5試合は、1アウトも取れなかった。

 2人が対戦すれば、デービスがシーズン初安打を打つか、あるいは、ローゼンタールがシーズン初アウトを取れそうだ(四球などもあり得るが)。もっとも、リーグの異なるオリオールズとナショナルズが顔を合わせるのは4試合だけ。それも、後半戦の7月16~17日と8月27~28日だ。デービスとローゼンタールは、その時もまだチームにいるだろうか。ちなみに、これまでに彼らが対戦したことはない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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