イチローを刺した捕手たち。モリーナ兄弟の盗塁阻止は計12度。捕手スズキvs.走者スズキは…
イチローは、メジャーリーグで509盗塁を決めた。一方、盗塁失敗は117度。盗塁成功率は81.3%だ。
そのなかで、イチローの盗塁を3度以上阻んだ捕手は6人いる(盗塁失敗には、捕手が絡まないものもある。ピック・オフから、ランダウン・プレーなどを経てアウトになった場合がそう)。最も多かったのは、ホゼ・モリーナだ。イチローに13盗塁を許したが、9度アウトにした。対イチローの盗塁阻止率は40.9%。盗塁阻止については、バッテリーを組む投手も大きな要因だが、これはかなり優秀な数値だ。
捕手3兄弟のうち、ホゼだけは、兄のベンジーと弟のヤディアー(セントルイス・カーディナルス)と違い、温和な風貌の上に打てなかった。兄と弟の通算OPSは.715以上だが、ホゼは.608に過ぎない。そのため、正捕手にはなれなかったが、優れたディフェンスにより、メジャーリーグで15シーズンを過ごした。ちなみに、モリーナ兄弟は3人ともチャンピオン・リングを手にしている。
ホゼとは対照的に、ベンジーはイチローに走られまくった。対イチローの盗塁阻止率13.0%は、自身の通算(31.3%)の半分に満たない。通算の盗塁阻止率が40.7%(2018年終了時)のヤディアーは、2010年に2盗塁を決められて一度も刺していないが、優劣を問うにはサンプル数が少ない。
ベンジーと同じように、カート・スズキ(現ワシントン・ナショナルズ)もイチローに多くの盗塁を許した。2007~10年の盗塁阻止率は30.8%とまずまずながら、2011年以降は10盗塁を決められ、まったく阻止できなかった。こちらもサンプル数はそう多くないが、トレバー・ケイヒル(現ロサンゼルス・エンジェルス)とバッテリーを組んだケースに限っても、2010年までの1盗塁&盗塁阻止2度に対し、2011年からは4盗塁&盗塁阻止ゼロ。捕手スズキvs.走者スズキは、イチローの圧勝だった。