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2018年に活躍したルーキーが改めて知らしめる、野茂英雄のMLB1年目

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジャック・フラハティ(セントルイス・カーディナルス)May 26, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 セントルイス・カーディナルスのジャック・フラハティは、2018年に活躍したルーキーの一人だ。シーズン序盤に2度降格したものの、5月半ば以降はローテーションを守りきり、4月の2先発を含め、28先発で防御率3.34を記録した。

 カーディナルスが10月末にリリースした「2018年のシーズン・レビュー」には、こんな記述がある。

「2018年の奪三振率10.85は、球団のルーキー史上1位(150イニング以上)に位置し、全体のルーキーではケリー・ウッド(12.58/1998年)、ドワイト・グッデン(11.39/1984年)、野茂英雄(11.10/1995年)に次ぐ4位、彼らはいずれも新人王を手にした」

 野茂の奪三振率11.10は、ウッドが登場するまで、歴代のルーキーのなかで2番目に高かった。今日でも3位だ。151.0イニングのフラハティを含めるために150イニング以上としているが、ウッド、グッデン、野茂の3人は、いずれも規定投球回をクリアした。フラハティは、AAAの5先発を含めると182.2イニングとなる。ちなみに、規定投球回以上のルーキーでは、2012年に奪三振率10.40を記録したダルビッシュ有(現シカゴ・カブス)が4位だ。

 また、レビューにはこういった記述もある。

「被打率.199は、25先発以上のルーキーのなかでMLB史上5番目に低い。ホゼ・フェルナンデス(2013年)と野茂英雄(1995年)が.182でトップ」

「キャリア最初の17先発中、1試合13奪三振以上が2度以上はMLB史上6人目:ケリー・ウッド(4度/1998年)、野茂英雄(4度/1995年)、ドン・ウィルソン(2度/1967年)、ボブ・ターリー(2度/1953~54年)、ボブ・フェラー(2度/1936年)」

 被打率については、正確に言うと、.1817のフェルナンデスが1位、.1821の野茂は2位だが、野茂が記録した当時はルーキーのなかで最も低かった。また、ウッドは5先発目にメジャーリーグ最多タイの20三振を奪ったものの、4度目の1試合13奪三振以上は15先発目だ。それに対し、野茂は12先発目だった。

 なお、ここに登場したルーキーのうち、ウッド、グッデン、野茂だけでなくフェルナンデスも新人王を手にしたが、ウィルソンとタ―リー、ダルビッシュは受賞しておらず、フェラーの当時はまだ賞がなかった。もっとも、ダルビッシュは3位ながら、トップ2はマイク・トラウト(ロサンゼルス・エンジェルス)とヨエニス・セスペデス(オークランド・アスレティックス/現ニューヨーク・メッツ)の野手2人。投手では、ダルビッシュがア・リーグの最高位だった。

 2018年の新人王は11月に発表され、フラハティは5位に終わった。彼の上には、投手に限っても、3位にウォーカー・ビューラー(ロサンゼルス・ドジャース)がいた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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