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走者がいない時は打たれなかったのに、走者を背負うと打たれた投手は?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ザック・ウィーラー(ニューヨーク・メッツ)Jul 29, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 2018年は、88投手が140イニング以上を投げた。そのなかで、被打率が最も低かったのは、.178のブレイク・スネル(タンパベイ・レイズ)だ。走者がいない時の被打率.205(10位)も低いが、走者がいる時は.129(1位)とさらに下がる。「無走者時>有走者時」の36人中、76ポイント差は最も大きかった。

筆者作成
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 一方、ザック・ウィーラー(ニューヨーク・メッツ)の被打率は、走者がいない時はスネルより低い.197(5位)だったが、走者を背負うと.268(62位)へ跳ね上がった。

 ただ、走者を背負った時の被打率が、走者がいない時より65ポイント以上高かった7投手のなかで、ウィーラーだけは4.00未満の防御率(3.31)を記録した。その理由は、前半戦と後半戦の違いにある。前半戦の被打率は無走者時が.208、有走者時は.304だったが、後半戦は走者がいる時もいない時も、.200未満(.180と.163)だ。

 防御率も、前半戦の4.44に対し、後半戦は1.68。後者に関しては、スネル(1.17)には及ばなかったものの、チームメイトのジェイコブ・デグローム(1.73)を凌ぎ、後半戦に50イニング以上を投げた118人の4位にランクインした。

 被打率だけでは判断できないものの、ウィーラーのブレイクは本物かもしれない。K/BBも、前半戦と後半戦で2.65→4.87と向上させている。ウィーラーは28歳。ドラフト指名は2009年の全体6位だ。今シーズンはスネルとデグロームが手にしたサイ・ヤング賞を、来シーズンはウィーラーが受賞してもおかしくない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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