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FAとなって広島カープを去ったのは、丸佳浩が9人目。これまでの選手は移籍1年目に活躍できたのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
新井貴浩/2008年の北京五輪 Aug 11, 2008(写真:ロイター/アフロ)

 広島東洋カープからFAとなって退団した選手は、丸佳浩が9人目だ。意外ではない気もするが、丸を含め、半数近い4人は読売ジャイアンツへ移籍している。その他は、2人が阪神タイガースへ。残る3人は、それぞれ違う球団へ移った。

筆者作成
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 高橋建の場合、2009年2月にマイナーリーグ契約を交わしたのは、トロント・ブルージェイズだった。だが、3月1日のエキシビション・ゲーム(オープン戦)初登板で、バント処理の際に右ふくらはぎを痛め、3月30日に解雇。同じ日に、再びマイナーリーグ契約でニューヨーク・メッツへ入団した。そこから、高橋はAAAで6登板して計11.2イニングを1失点に抑え、5月2日にメジャーデビューを果たした。ちなみに、前田健太(ロサンゼルス・ドジャース)はFAではなく、ポスティング・システムを利用した。

 野手4人のうち、移籍1年目に文句なしの成績を残した選手はいない。江藤智(2000年)のホームランは前年から5本増えたが、長打は9本減。出塁率とOPS(出塁率+長打率)は、それぞれ57ポイントと105ポイント下がった。金本知憲(2003年)と新井貴浩(2008年)のOPSは前年と同水準ながら、ホームランは激減した。新井は腰を痛め、出場試合が減っただけでなく、ホームランのペースも、前年の19.9打数/本から45.8打数/本に下がった。

 また、江藤は移籍2年目も30本塁打をクリアしたが、その後の成績は急降下した。新井は移籍前の3シーズンとも25本塁打以上を放ち、2005年は43本でタイトルを手にしていたが、阪神に移籍後、シーズン20本に達することはなかった。一方、金本は2003年の日本シリーズ第3~5戦に計4本塁打を放ち、翌年以降はパワーを甦らせた。

 なお、来シーズンもプレーする丸と大竹寛(と前田)を除くと、7人中3人は、広島東洋へ戻ってきてキャリアを終えた。高橋は2010年、新井と黒田博樹は2015年に復帰した。

「丸佳浩の前に、FAとなって読売と契約した野手の1年目はどうだった!?」

「MVP受賞のオフに移籍は、丸が広島を去ればNPB史上6人目。MLBでは意外に少なく…」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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