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菊池雄星を「石川遼」とともに勧誘した投手のその後

宇根夏樹ベースボール・ライター
ルーキー当時のデレク・ホランド Aug 31, 2009(写真:ロイター/アフロ)

 今から9年前、菊池雄星と面談するために花巻東高を訪れた際、テキサス・レンジャーズは現役メジャーリーガーのデレク・ホランドを同行させた。彼自身ではなく球団の発案らしいが、ホランドは石川遼のパネルを持って現れた。

 当時のホランドは23歳。プロスペクトとして、この年の4月にメジャーデビューした。その後、2011年に初めて規定投球回をクリアし、2012年の開幕前に5年2850万ドルの延長契約を得ると、2013年は200イニング以上を投げ、ア・リーグ14位の防御率3.42を記録した。ところが、その後は故障に見舞われ、投球も精彩を欠いた。2015~17年の防御率は、4.91→4.95→6.20と推移。2016年のオフにレンジャーズから球団オプションを破棄され、昨年は9月初旬にシカゴ・ホワイトソックスから解雇された。今年2月にサンフランシスコ・ジャイアンツと交わしたのは、マイナーリーグ契約だった。

 だが、今シーズン、ホランドは復活した。故障者の穴埋めとして開幕からローテーションに入り、途中でブルペンに回されたこともあったが、30先発と6救援の計171.1イニングで、ナ・リーグ15位の防御率3.57を記録した。また、過去4年とも7.00未満だった奪三振率は、8.88まで上昇。キャリアベストを塗り替え、10位にランクインした。

 今オフ、ホランドはFA市場に出ている。菊池はポスティング・システムを利用し、そこに加わる。年齢は32歳と27歳だが、左の先発投手という点は共通する。

 2人が、かつて実現しなかったチームメイトになる可能性は低そうだが、来シーズン、同じ試合で投げ合うことになってもおかしくない。NBCスポーツ・ベイ・エリアのアレックス・パブロビッチによると、ホランドはジャイアンツとの再契約を望んでいるという。ホランドの希望が叶い、菊池がジャイアンツと同じナ・リーグ西地区の球団に入れば、投げ合う確率はグッと高まる。その時は、勝手な妄想ではあるものの、もしスケジュールの都合がつけば、始球式で石川遼に投げてほしい。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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