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読売ジャイアンツが獲得したビヤヌエバは、20本塁打のルーキー。パドレスが手放したのはもったいない!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
クリスチャン・ビヤヌエバ(右から2人目)Aug 18, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 読売ジャイアンツが、サンディエゴ・パドレスからクリスチャン・ビヤヌエバを獲得した。ビヤヌエバは27歳のメキシカンだ。昨年9月にメジャーデビューし、今シーズンは110試合で打率.236、出塁率.299、20本塁打、3盗塁を記録した。守備は三塁の他、内野の他3ポジションも守った。

 読売だけでなく、阪神タイガースもビヤヌエバの獲得に動いていた節がある。ジ・アスレティックのケン・ローゼンタールは、パドレスが阪神へ売却とツイートした後、阪神ではなく読売と訂正した。

 ビヤヌエバの20本塁打は、ルーキーでは大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)とホアン・ソト(ワシントン・ナショナルズ)の22本に次ぎ、7番目に多い。ナ・リーグに限れば、ビヤヌエバよりホームランの多いルーキーは、新人王を受賞したロナルド・アクーニャJr.(26本/アトランタ・ブレーブス)と投票2位のソトしかいない。

 ただ、メジャーリーグ全体では、20本塁打はそれほど多い本数ではない。今シーズンは、ビヤヌエバを含む100人が20本塁打以上を記録した。C.J.クロン(タンパベイ・レイズ)のように、25位タイの30本塁打を打ちながら、オフに40人ロースターから外された選手もいる。クロンは28歳。スラッシュライン(打率/出塁率/長打率)の数値は、いずれもビヤヌエバより上だった。クロンはDH&一塁手だが、ビヤヌエバも守備を売りとする選手ではない。

 5月を終えるまでに、ビヤヌエバは166打数で15本のホームランを打った。これよりも多い選手は、18本塁打のマイク・トラウト(エンジェルス)とブライス・ハーパー(ナショナルズ)ら、6人しかいなかった。ところが、その後のビヤヌエバは185打数で5本塁打にとどまり、8月下旬に二塁の守備で打球を右手中指に受け、そのままシーズンを終えた。ちなみに、ビヤヌエバはこの3日前に、平野佳寿(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)からサヨナラ安打を放った(写真はその直後)。新人王の投票で、平野を3位とした記者は1人いたが、ビヤヌエバに票を投じた記者はいなかった。

 また、スタットキャストによると、ビヤヌエバのホームランは平均飛距離392フィート(約119.5m)だった。これは、10本塁打以上を打った選手のトップ150にも入らない。ちなみに、大谷の平均413フィート(約125.9m)は、トップ10に入っている。

 こういったことからすると、ビヤヌエバの最大の――あるいは唯一の――長所であるパワーすら、メジャーリーグでは抜群と呼べるほどではなく、パドレスとしてはそう惜しい選手ではなかったことが窺える。

 もっとも、ビヤヌエバが日本プロ野球で活躍できるかどうかは、これとはまた別の話だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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