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日米野球で来日するメンバーには、どの球団にも在籍していないFAがいて、トレードを希望する選手も

宇根夏樹ベースボール・ライター
J.T.リアルミュート(左)とジャンカルロ・スタントン Aug 21, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 日米野球で来日するメンバーのうち、ロビンソン・チリーノスはどの球団にも在籍していない。10月下旬にメンバーが発表された時はテキサス・レンジャーズにいたが、11月2日に来シーズンの球団オプション(235万5000ドル)を破棄され、FAとなった。これに伴い、チリーノスにはレンジャーズから100万ドルが支払われる。

 今のところ、チリーノスが日米野球の出場を辞退するとは、報じられていない。FAとはいえ、契約交渉は代理人が行ので、選手自身は日本にいても差し支えない。

 また、チリーノスはこれまでどおり、レンジャーズのユニフォームでプレーするだろう。今から4年前には、10月にニューヨーク・ヤンキースからFAになったクリス・キャピュアーノが、11月の日米野球でヤンキースのユニフォームを着て投げた。その翌月、キャピュアーノはヤンキースと再契約を交わした。

 チリーノスの他にFAの選手は来日しないが来日するFAの選手はエラスモ・ラミレス(シアトル・マリナーズの40人ロースターから外され、FAとなることを選択した)だけだが、トレードの噂が出ている選手はいる。正確に言えば、本人が移籍を希望している。チリーノスと同じ捕手の、J.T.リアルミュート(マイアミ・マーリンズ)がそうだ。リアルミュートの代理人を務めるジェフ・ベリーは、10月30日にMLBネットワーク・ラジオで、「スプリング・トレーニングが始まるまでに違うユニフォームを絶対に着るんだという気持ちでいると思う」と語った。

 昨オフも、リアルミュートはトレードを希望していた。昨年12月から今年1月にかけて、マーリンズはファイヤー・セールを催し、二塁手と外野手3人を売り払った。ディー・ゴードン(→シアトル・マリナーズ)、ジャンカルロ・スタントン(→ヤンキース)、マーセル・オズーナ(→セントルイス・カーディナルス)、クリスチャン・イェリッチ(→ミルウォーキー・ブルワーズ)を放出した。今シーズン、マーリンズは地区最下位に沈んだ。

 34歳のチリーノスと違い、リアルミュートは27歳と若い。FAになるのは、最短でも2020年のオフだ。マーリンズとしては、安売りする気はないだろう。ただ、昨オフや今夏もそうだったように、欲しがる球団は少なくない。来日中にトレードが決まることはなさそうだが、本人の希望が叶えば、マーリンズのユニフォームに袖を通すのは、日米野球が最後になる。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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