Yahoo!ニュース

投手・大谷は20年前の新人王と同じ!? トミー・ジョン手術を受け、新人王の翌年は全休

宇根夏樹ベースボール・ライター
ケリー・ウッド May 11,1998(写真:ロイター/アフロ)

 大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)のトミー・ジョン手術が決まった。9月25日にエンジェルスが発表。オフシーズンの1週目に手術を受けるという。投手の場合、復帰まで1年から1年半を要するため、来シーズンもDHとしては出場する予定だが、登板はしない。

 現在、大谷はミゲル・アンドゥーハー(ニューヨーク・ヤンキース)とともに、新人王の有力候補となっている。受賞すれば、投手・大谷は、20年前のケリー・ウッドと同じ道を歩む。トミー・ジョン手術を受け、新人王の翌年は全休した投手、ということだ。

 1998年にデビューしたウッドは、この年の新人王に選ばれた。だが、シーズン終盤に右肘を痛め、9月以降はディビジョン・シリーズで1試合に登板しただけ。翌年のスプリング・トレーニングで投げたものの、痛みが再発し、開幕直後にトミー・ジョン手術を受けた。

 ハードボーラーのウッドは、デビュー5登板目に史上最多タイの1試合20奪三振を記録し、今シーズンの大谷のように、全米の注目を浴びた。また、大谷とアンドゥーハーは、どちらが新人王を受賞するにしても、僅差になるだろう。ウッドと2位のトッド・ヘルトンの差は、わずか9ポイント。ウッドに1位票を投じた記者は16人、ヘルトンは15人だった(あと1人はケリー・ライテンバーグを1位とした)。

 ウッドがメジャーリーグのマウンドに戻ったのは、2000年5月だ。大谷は10月に手術を受けるので、ウッドと同じく復帰まで13ヵ月であれば、2020年の開幕に間に合う。1年半かかったとしても、開幕前後に復帰できる。

 ただ、大谷が復帰直後から100%の投球をできるかについては、疑問符もつく。ウッドが輝きを取り戻したのは、復帰2年目の2001年だ。1998年の防御率3.40に対し、2000年は4.80、2001年は3.36。奪三振率と与四球率も同様で、前者は12.58→8.67→11.20、後者は4.59→5.72→4.75と推移した。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事