Yahoo!ニュース

8月のトレード総括―ポストシーズンに向けた補強。1ヵ月に2度トレードされた選手も

宇根夏樹ベースボール・ライター
アンドルー・マッカッチェン May 19, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 8月31日は「第2のトレード・デッドライン」だ。9月に入ってもトレードはできるが、その選手はポストシーズンには出場できない。今年も、最終日にはかなりの大物も動いた。2013年にMVPを受賞したアンドルー・マッカッチェンは、サンフランシスコ・ジャイアンツからニューヨーク・ヤンキースへ移った。トロント・ブルージェイズからクリーブランド・インディアンズへ移籍したジョシュ・ドーナルソンは、2015年のMVPだ。

 下のリストは、ポストシーズン進出をほぼ確実にしているか、ポストシーズン進出をめざす球団が、8月に加えた選手だ。トレード(ウェーバー経由)だけでなく、ウェーバー公示されていた選手の獲得や、FAだった選手との契約も含んでいる。

筆者作成
筆者作成

 ア・リーグ東地区と西地区の首位にいる、ボストン・レッドソックスとヒューストン・アストロズは、動きがなかった。ウェーバーを経由せずにトレードできる7月31日までに、レッドソックスはネイサン・イオバルディイアン・キンズラー、アストロズはロベルト・オスーナマーティン・マルドナードを獲得している。7月のトレードについては、「トレード・デッドライン総括。最大のサプライズは、あのエースをあの球団が獲得したこと!?」で書いた。

 7月に投手陣を整備したヤンキースは、それに続き、今度は外野手と遊撃手、マッカッチェンとアデイニー・エチャバリアを手に入れた。もっとも、この動きはアーロン・ジャッジディーディー・グレゴリアスの故障に伴うものだ。エチャバリアは、8月6日にタンパベイ・レイズからピッツバーグ・パイレーツへトレードされたばかりだった。

 ミルウォーキー・ブルワーズは8月も精力的に動き、先発投手陣にジオ・ゴンザレス、野手陣にカーティス・グランダーソン、ブルペンにゼイビア・セデーニョらを加えた。昨シーズン、ブルワーズは地区首位でオールスター・ブレイクを迎えながら、ポストシーズン進出を逃した。今シーズンも、前半戦を終えた時点ではワイルドカードの1番手にいただけに、昨シーズンの二の舞は避けたいところだろう。現時点では、ロサンゼルス・ドジャースに2.5ゲーム差をつけ、ワイルドカードの2番手に位置している。

 なお、シアトル・マリナーズがアリゾナ・ダイヤモンドバックスから獲得したクリストファー・ネグロンは、今シーズン、メジャーリーグでは2試合にしか出場しておらず、過去の実績からしても補強とは言い難い。地区首位からもワイルドカードの2番手からも5ゲーム以上離されているマリナーズは、このまま「最もポストシーズンから遠ざかる球団」であり続けるのだろうか。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事