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どちらも35歳の控え捕手をトレードで交換。両チームの狙いはどこにある!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
クリス・ジメネス Jun 10, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 8月30日、シカゴ・カブスとミネソタ・ツインズがトレードを成立させ、カブスはボビー・ウィルソンを獲得し、ツインズは交換にクリス・ジメネス(+金銭あるいはPTBNL=後日決定選手)を得た。

 ウィルソンとジメネスは、どちらも35歳の控え捕手だ。キャリアを通して、打てない捕手だったことも共通する。今シーズン、ウィルソンは47試合に出場して打率.178&OPS.523、ジメネスは12試合で打率.143&OPS.362。また、ウィルソンは右足首を痛め、8月24日から故障者リストに入っている。ジメネスは7月4日に40人ロースターから外され、その後はAAAでプレーしていた。さらに、2人とも、シーズン終了後にはFAになる。こういったことからすると、あまり意味のないトレードのようにも思える。

 ポストシーズンに向けて、カブスはウィルソンを手に入れたのだろう。投手のリードをはじめとするディフェンスにおいて、ジメネスよりもウィルソンを買っていると思われる。ポストシーズンでは、現在の控え捕手である25歳のビクター・カラティニを外し、ウィルソンをロースターに加えるのかもしれない。

 一方、ポストシーズン進出が絶望的なツインズでは、5月にジェイソン・カストロが右膝の手術を受けたのに加え、ウィルソンの故障もあって、ミッチ・ガーバーウィリアンズ・アスタディーヨ、2人のルーキーがスタメンマスクを分け合っている。ツインズとしては、彼らにベテランのジメネスから学んでほしいと考えているらしい。もちろん、学ぶ相手はウィルソンのままでもよかったのだろうが、それではプラス・アルファの見返りは得られない。昨シーズンも、ジメネスはツインズでプレーしていた。9月になればロースター枠が25人から40人に広がるので、捕手が3人いても構わない。

 なお、カブスだけでなくテキサス・レンジャーズでも、ジメネスはダルビッシュ有とチームメイトだった。2014年はダルビッシュの22登板中12試合――5月22日~8月3日の13登板中12試合――でスタメンマスクをかぶった。だが、カブスでは、スプリング・トレーニングのエキシビション・ゲーム1試合でバッテリーを組んだだけで、ジメネスはツインズへ去っていった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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