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プロ12年目の新人が打ち立てた新記録は、デビュー2試合の打点だけではなかった

宇根夏樹ベースボール・ライター
フランシスコ・アルシア(ロサンゼルス・エンジェルス)Jul 28, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 フランシスコ・アルシア(ロサンゼルス・エンジェルス)が、デビュー2試合の打点記録を樹立した。7月26日に3ラン本塁打とタイムリー安打で4打点を挙げ、出場しなかった27日を挟み、28日はタイムリー二塁打、3ラン本塁打、2者生還のタイムリー二塁打で6打点。2試合で計10打点とし、1954年にジョー・カニンガムが記録した計9打点(5打点/4打点)を上回った。

 この新記録を際立たせるのが、アルシアのキャリアだ。プロ12年目の28歳。9月には29歳を迎える。マイナーリーグでは通算584試合に出場し、打率.244、25本塁打、OPS.657だった。シーズン最多本塁打は、2012年にAで打った5本。今シーズンは7月26日にメジャーリーグへ昇格するまで、AAAとAAの計46試合で、打率.275、3本塁打を記録した。

 正捕手のマーティン・マルドナードがヒューストン・アストロズへ放出され、メジャーデビューの機会が巡ってきたが、マルドナードが去っても、控え捕手のレネ・リベラが故障していなければ、アルシアは昇格できなかっただろう。アルシアとホゼ・ブリセイニョではなく、リベラとブリセイニョがマスクをかぶっていたはずだ。

 ちなみに、ブリセイニョはプロ9年目の25歳。アルシアと同じ、ベネズエラ出身のルーキーだ。リベラの故障者リスト入りに伴い、5月20日に昇格し、6日後のデビュー戦で2ラン本塁打を放った。2試合目は途中出場で1打数0安打に終わったが、先発2試合目はソロ本塁打。スタメンマスクをかぶった最初の2試合とも本塁打という点は、アルシアと共通する。

 7月29日はブリセイニョが先発し、アルシアは途中から出場したが、打席は回ってこなかった。30日は試合がなく、31日はアルシアが先発出場すると思われる。

 打席に立たなかったのだから含めるべきではないが、7月29日の試合をカウントしても、アルシアはデビュー2試合に加え、3試合の打点記録にも名を残す。これまでの最多は、カニンガム――だけではないかもしれないが――の計9打点だった。カニンガムは2試合で計9打点を挙げた後、3試合目もヒットを打ったものの、打点は挙げられなかった。

 デビュー4試合の最多は、2年前にトレバー・ストーリー(コロラド・ロッキーズ)が記録した11打点(4打点/1打点/2打点/4打点)だ。アルシアはそれに並ぶか、追い越す可能性もある。なお、ストーリーはこの4試合とも、本塁打を放った(計6本)。デビューから3試合以上続けて本塁打を打った選手は、ストーリーの他にはいない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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