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トレード・デッドライン中間報告。同じ球団から相次いで放出され、新天地で再びチームメイトになった2人も

宇根夏樹ベースボール・ライター
ザック・ブリットン(ニューヨーク・ヤンキース)Jul 26, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 トレード・デッドラインまで、あと数日となった。オールスター・ゲーム後、ポストシーズン進出に向け、あるいはポストシーズンで勝ち進むため、すでに複数の選手を獲得した球団も少なくない。

筆者作成
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 クリーブランド・インディアンズは、1度のトレードで左右のリリーフ投手、ブラッド・ハンドアダム・シンバーを手に入れた。2人の選手を別々のトレードで獲得した5球団も、その一方はリリーフ投手だ。テキサス・レンジャーズにいたコール・ハメルズジェシー・チャベスは、違うトレードでシカゴ・カブスへ移り、再びチームメイトになった。ちなみに、2人は移籍前に5度、同じ試合に登板した。レンジャーズはその5試合で1勝4敗だった。

 一方、サンディエゴ・パドレス以外に複数の選手を放出した球団も多く、タンパベイ・レイズは3人の投手を手放した。ネイサン・イオバルディをボストン・レッドソックス、ジョニー・ベンタースをアトランタ・ブレーブス、マット・アンドリースをアリゾナ・ダイヤモンドバックスへ。こちらの場合、3人中2人が同じ試合で投げたことはあったが、3人が登板した試合はなかった。

 ポジション別では、リリーフ投手が圧倒的に多い一方で、外野手の動きは皆無に等しい。カンザスシティ・ロイヤルズがブライアン・グッドウィンを獲得したのは、来シーズン以降を見据えた動きだ。グッドウィンは2011年のドラフト全体34位。メジャーリーグ3年目の27歳なので、もうプロスペクトではないが、少なくとも2022年まで保有できる。ロイヤルズはマイク・ムスタカス(→ミルウォーキー・ブルワーズ)の前にも、6月にジョン・ジェイ(→ダイヤモンドバックス)とケルビン・ヘレーラ(→ワシントン・ナショナルズ)を放出している。

 ロイヤルズの他には、セントルイス・カーディナルスとヤンキースも、獲得と放出の両方に顔を出している。カーディナルスは今シーズンをあきらめてはいないものの、来シーズン以降も意識しつつ、「売り手」と「買い手」のどちらとしても動いているのではないか。ヤンキースは明らかに「買い手」だ。リリーフ左腕のチェイシン・シュリーブ(とリリーフ右腕のジオバニー・ガイエゴース)を手放したのは、交換に100万ドル分のインターナショナル・サイニング・ボーナス・プール(と一塁手のルーク・ボイト)を手に入れることが、主な目的だったようだ。ヤンキースはその前に、ザック・ブリットンを獲得している。同じリリーフ左腕でも、ブリットンはシュリーブより格上だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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