マチャドにとって、ドジャース移籍はいいことだらけ。でも、ドジャースにとっては?
マニー・マチャドの移籍が決まった。5選手と交換に、ボルティモア・オリオールズからロサンゼルス・ドジャースへ移る。
このトレードは、マチャドにとっては願ったり叶ったりだ。
今秋のポストシーズン出場の可能性は、限りなくゼロに近いところから、一気に急上昇した。オリオールズの勝率は3割に届かず、地区首位とワイルドカード2枠目のチームから、それぞれ30ゲーム以上も離されている。それに対し、ドジャースは僅差ながら、地区首位で前半戦を終えた。
ポジションは移籍する前と変わらず、遊撃のままだ。マチャドは昨シーズンまで三塁を守っていて、ゴールドグラブを2度受賞しているが、メジャーデビューするまでは遊撃手だった。J.J.ハーディがいなくなった今シーズンより、遊撃に「復帰」した。ドジャースでは、正遊撃手のコリー・シーガーが5月上旬にトミー・ジョン手術を受け、その後はユーティリティ・プレーヤーのクリス・テイラーとキーケー・ヘルナンデスが遊撃を守っていた。
また、マチャドは今オフにFAとなるが、この移籍によって、クオリファイング・オファー(QO)の対象から外れた。FAの選手が、それまで在籍していた球団からQOを提示され、受け入れなかった場合、その選手と契約した球団(再契約を除く)は次のドラフトの指名権を1つか2つ失う。海外のアマチュア選手と交わす契約金の総額枠を減らされることもある。もし、QOを提示されているマチャドと提示されていないマチャドがいれば、球団は後者を選ぶ。マチャドからすると、よりよい契約をゲットする機会を得たというわけだ。FAとなる前に、ドジャースと延長契約を交わすことはないだろう。シーガーはマチャドより2歳若く、年俸調停の権利すらまだ得ていない。
マイナスの要素があるとすれば、故郷のマイアミから遠くなるのと、オリオールズでつけていた背番号「13」が空いていないことくらいか。どちらも、大した問題ではない。ちなみに、ドジャースの背番号「13」はマックス・マンシーだ。
一方、ドジャースにとってはどうか。
マチャドが加わり、打線はレベルアップする。ドジャースで遊撃手として出場した選手の計15本塁打、出塁率.359、OPS.839は、いずれもリーグ2位だが、マチャドの成績はそれを上回る。24本塁打、出塁率.387、OPS.963だ。
また、マチャドを加えても、今シーズンの年俸総額は1億9700万ドルに達しないので、課税対象にはならない。
ただ、守備には不安が残る。マチャドのDRS-19とUZR-7.7は、どちらも両リーグの遊撃手ワーストだ。ドジャースで遊撃を守った選手の合計は+1と-4.2、シーガーを除く2人の合計は+3と-3.4。マチャドが遊撃を守ることで、その数値はさらに悪化しかねない。