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勘違いが生んだトリプル・プレー。三塁手→二塁手→一塁手というボールの流れは珍しくないけれど

宇根夏樹ベースボール・ライター
トリプル・プレーが成立した直後 Apr 19, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 4月19日、今シーズン最初のトリプル・プレーが、セーフコ・フィールドで成立した。ボールは三塁手から二塁手、そして、一塁手へ。トリプル・プレーとしては珍しくなく、昨シーズンは7度のうち4度がこの流れだった。

 ただ、今回のトリプル・プレーは一味違った。場面は4回表、無死一、二塁。まず、 エバン・ギャティス(ヒューストン・アストロズ)が打ったゴロを三塁手のカイル・シーガー(シアトル・マリナーズ)が捕り、ベースを踏んだ。続いて、シーガーの送球を二塁手のロビンソン・カノーがベース上で受けた。打者のギャティスをアウトにできるタイミングではなく、カノーはそこでプレーを止めた。このままであれば、ダブル・プレーだ。

 ところが、ギャティスは3アウトでイニング終了と勘違いし、ダグアウトへ向かおうとした。これを見たシーガーの指示により、カノーが一塁手のダニエル・ボーゲルバックへ送球。ギャティスはボーゲルバックにタッチされ、アウトになった。

 アウト・カウントの間違いは、フライを捕った外野手が3アウトと思ってスタンドへボールを投げ込んでしまうなど、たまに起きる。けれども、それがトリプル・プレーを生んだことは、これまでにあっただろうか。

 なお、トリプル・プレーにはさまざまなパターンが存在し、得点が入ることさえある。それについては、昨年7月に「「得点ありのトリプル・プレー」の前には松井秀喜、後には城島健司が思い出された」で書いた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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