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クオリファイング・オファーの明暗。チームメイトだった2人は、一塁手が8年契約、三塁手はQOの半額未満

宇根夏樹ベースボール・ライター
マイク・ムスタカス(カンザスシティ・ロイヤルズ)Jun 30, 2017(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 開幕直後、グレッグ・ホランドがセントルイス・カーディナルスに入団した。これにより、1年1740万ドルのクオリファイング・オファー(QO)を提示された(そして拒否した)9人のFAは、全員が新たな契約を手にした。

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 目につくのは、前年までカンザスシティ・ロイヤルズでチームメイトだった3人の明暗だ。エリック・ホズマーはサンディエゴ・パドレスから8年1億4400万ドル、ロレンゾ・ケインはミルウォーキー・ブルワーズから5年8000万ドルの契約を得たが、マイク・ムスタカスは1年650万ドルでロイヤルズと再契約した。

 3人の年齢は、ホズマーが28歳、ムスタカスが29歳、ケインは31歳(もうすぐ32歳)だ。昨シーズン、ムスタカスは38本塁打を放ち、球団シーズン記録を塗り替えた。けれども、ムスタカスの選球眼、守備、走塁はどれも、ホズマーとケインに劣る。

 ムスタカスの契約は、2017年のオフだけでなく、過去にQOを提示されたFAのなかでも最も安い。これまでは1年800万ドルが2人いただけで、それ以外の選手の契約は年平均1000万ドル以上だった。

 ただ、1年800万ドルで契約した2人は、次のオフに再びQOを提示されて拒否し、今度は大型契約を得た。ネルソン・クルーズは2014年のオフにボルティモア・オリオールズからFAとなり、4年5700万ドルでシアトル・マリナーズと契約した。2016年のオフにテキサス・レンジャーズからFAとなったイアン・デズモンドは、5年7000万ドルでコロラド・ロッキーズに入団した。

 ムスタカスも、彼らに続くことができるだろうか。クルーズやデズモンドと違い、ムスタカスが再びQOを提示されることはない。キャリアを通して1度だけに変更されており、今後は何度FAになろうと、ムスタカスはQOの対象外だ(昨シーズンのダルビッシュ有のように、シーズン途中に移籍し、そのオフにFAとなった選手も対象外)。ムスタカスが3月にロイヤルズと再契約する直前、妻のステファニーは2人目の子供を出産した。

 また、QOを提示されたFAの顔ぶれのみならず、ストーブリーグの状況もオフによって違うので、単純には比較できないが、新契約の年平均額がQOと同じか上回った選手の割合は、2017年のオフが最も低かった。複数年契約を手にした選手の割合も、2013年のオフに次いで低く、70%に届かなかった。

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ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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