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ホームランを打った試合で勝利投手になった日本人メジャーリーガーは2人。3人目は大谷翔平か、あるいは

宇根夏樹ベースボール・ライター
前田健太は2年間で打率.125。本塁打1本、二塁打2本 Jun 18, 2017(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ホームランを打ち、その試合で勝利投手になる。これをリアル二刀流と呼ぶかはさておき、やってのけた日本人メジャーリーガーは2人いる。野茂英雄(2度)と前田健太だ。ともに、ロサンゼルス・ドジャースの選手として記録した。

 野茂の1度目は、1998年4月28日のミルウォーキー・ブルワーズ戦。7回裏にソロ本塁打を放ち、完投して白星を手にした。ちなみに、このホームランは野茂自身のみならず日本人メジャーリーガーの初本塁打となった。当時まだ、日本人野手はいなかった。

 続いて2度目は、2003年7月17日のセントルイス・カーディナルス戦。3回裏に先制2ラン本塁打を打ち、6イニングを1失点(自責点0)に抑えた。この試合では、4回裏にもタイムリー二塁打を放ち、2打数2安打、3打点。チームの得点の半分を叩き出した。

 前田は2016年4月6日のメジャーデビュー戦。相手はサンディエゴ・パドレスだった。4回表にソロ本塁打を放ち、6イニングを無失点に封じて白星を挙げた。

 野茂は他にも2本のホームランを打っていて、吉井理人石井一久ダルビッシュ有も1本ずつ記録しているが、いずれの試合でも勝利投手にはなっていない。それどころか、吉井と野茂(4本目)は敗戦投手になった。吉井は打者天国のクアーズ・フィールドで8イニングを投げ、2点しか与えなかったものの、味方打線の援護がなかった。また、石井の試合では、相手の2番手として投げた大塚晶則に白星がついた(石井の本塁打はジェイク・ピービーから)。

 野茂と前田に続く3人目は誰か。真っ先に思い浮かぶのは大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)だが、数日前に「今シーズン、大谷の「リアル二刀流」は多くて4試合!?」で書いたように、ア・リーグにいるため、チャンスは少ないかもしれない。田中将大(ニューヨーク・ヤンキース)と岩隈久志(シアトル・マリナーズ)も同様だ。救援投手も、可能性は皆無ではないが、打席に立つこと自体がほとんどない。となると、すでに初本塁打を打っているダルビッシュ有が、ナ・リーグの球団と契約すれば、筆頭候補か。

 田中はメジャーリーグで通算20打数1安打。長打はない。岩隈は11打数0安打。ダルビッシュは31打数4安打で、本塁打の他に二塁打も1本ある。

 なお、昨シーズンは14試合で、ホームランを打った投手が白星を挙げた。いずれも先発投手で、アダム・ウェインライト(カーディナルス)とスティーブン・ストラスバーグ(ワシントン・ナショナルズ)は2試合ずつ。ピッツバーグ・パイレーツのゲリット・コール(現ヒューストン・アストロズ)は完封し、1対0で勝利を収めた。

 マディソン・バムガーナー(サンフランシスコ・ジャイアンツ)は投手最多の3本塁打を放ったが、1試合2本の開幕戦は白星も黒星もつかず、9月3日は自らのソロ本塁打で同点に追いつきながら、結局は敗戦投手となった。また、70試合に投げたマイケル・ロレンゼン(シンシナティ・レッズ)は、登板しなかった試合で、代打として本塁打を放った。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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