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大谷翔平の会見コメント以上に笑えた、背番号「17」を巡るジョーク

宇根夏樹ベースボール・ライター
パット・ニシェック Jul 11, 2017(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)は入団会見で「今日、マイク・トラウト選手の結婚式がありますので、結婚おめでとうございます」とチームメイトを祝福し、背番号「17」を選んだ理由を訊かれると「本当は27番にしようかなというか、したい気持ちがあったんですけども、埋まっていたので17番にしました」と答えた。

 これは、トラウトの背番号が「27」であることを踏まえたジョークだ。ちなみに、トラウトはMVPを2度受賞しており、それらを含め、過去6年とも投票4位以内に入っている。

 一方、大谷のエンジェルス入団から遅れること数日、フィラデルフィア・フィリーズと契約したパット・ニシェックは、こうツイートした。「17番を返してくれてありがとうリース・ホスキンス…何ダースかのボールにサインして来週あたりに届けるから」

 昨シーズン、ニシェックは7月にコロラド・ロッキーズへトレードされるまで、フィリーズで背番号「17」のユニフォームを着て投げた。その後、フィリーズの背番号「17」は、8月にデビューしたホスキンスが使用した。

 ホスキンスは50試合で18本塁打を放ったが、ルーキーシーズンを終えたばかり。メジャーリーグ11年のキャリアを持つベテランが戻ってきたとあれば、背番号を返却してもおかしくはない。ニシェックは違う球団でも背番号「17」だったことがあり、昨春のWBCでも「17」を背負った。

 また、ニシェックのサインボールにどれほどの価値があるかは疑問だが、彼自身はベースボール・カードなどメモラビリアのコレクターとして知られている。2014年の夏にセントルイス・カーディナルスでジョン・ラッキーに背番号「41」を譲った際には、御礼にベーブ・ルースのサインボールをもらった。

 ただ、最初のツイートから22分後、ニシェックはこう綴った。「よしもう十分だろう…本当にそうすると思ったかい? 17番はそのまま使ってくれリース! 僕は違う番号を適当に見つけるから」

 ニシェックが仕掛けたドッキリは大成功した。「先週買ったホスキンスのジャージがもう時代遅れに? FML(最悪)」「ノーォォォ…クリスマスに8歳の息子に贈ろうとホスキンスの17番のジャージを手に入れたのに」といったツイートが飛び交った。

 むしろ、うまくいきすぎたようだ。ニシェックは翌日、「昨日の続き-僕は17番じゃなく、リースが17番のまま…君たちのクリスマス・プレゼントは大丈夫。お願いだからジョークだと気づいてないファンのためにリツイートして」と書き込んだ。

 ニシェックはさらに、背番号「41」にしようかと思っている――同じくフィリーズに加入したカルロス・サンタナは、それまでクリーブランド・インディアンズで「41」をつけていた――と再びジョークを飛ばした後、新たな背番号として「93」を選んだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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