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MLBの殿堂候補。松井秀喜らが加わった一方、通算300盗塁や通算300セーブの選手が候補になれず

宇根夏樹ベースボール・ライター
フランシスコ・コーデロ(左)とマーク・テシェーラ July 11, 2004(写真:ロイター/アフロ)

 今回の殿堂入り候補には、松井秀喜ら19人が新たに加わった。彼らは2012年限りで引退するか、少なくともこの年を最後にメジャーリーグではプレーしていない。

 メジャーリーグで10年以上プレーし、引退から5年経てば、誰もが候補になるわけではない。審査委員会の6人中2人から推挙される必要がある。なお、この場合のプレー年数は、シーズン出場1試合でも1年と数える。オールスター・ゲームのファン投票とは違い、候補者以外に投票する「ライト・イン」は認められていない。

 スコット・ポセドニックは2004年に盗塁王を獲得し、11シーズンで309盗塁を決めたが、候補にはなれなかった。野手では、アダム・ケネディジャック・ウィルソンニック・ジョンソンらもそうだ。

 先発投手には、ベン・シーツジェフ・スーパンカール・パバーノらがいる。先発として248試合、救援として410試合に投げたミゲル・バティスタも、候補から漏れた一人だ。フランシスコ・コーデロブライアン・フエンテスギレルモ・モタの3人は、一度も先発することなく650試合以上に登板した。

 コーデロが積み上げた329セーブは、歴代15位に位置し、今回から候補となった投手の誰よりも多い。ジェイソン・イズリングハウゼンは300セーブ(26位タイ)、ブラッド・リッジは225セーブ(41位)だ。

 コーデロは防御率(3.38)でも、イジー(3.64)とリッジ(3.54)を凌ぐ。セーブ率(セーブ÷[セーブ+セーブ失敗])は、3人のなかでコーデロ(81.2%)が最も低いが、イジー(82.4%)とリッジ(83.3%)と比べ、そう劣るわけではない。

 もちろん、2人とコーデロには違いがある。例えば、イジーとリッジはポストシーズンでもクローザーを務め、歴代5位タイの11セーブと2位の18セーブを挙げているのに対し、コーデロはポストシーズンでは1球も投げていない。

 それでも、殿堂入り候補の選出にあたり、2人とコーデロを分けたのは、紙一重の差だった気がする。

 ちなみに、2010年に地区優勝を果たしたシンシナティ・レッズで、コーデロは40セーブを記録した。だが、レッズはディビジョン・シリーズ(地区シリーズ)において、リッジのいるフィラデルフィア・フィリーズにスウィープを喫し、コーデロは3試合とも登板することなく、オフを迎えた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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