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イチローとチームメイトの日本人メジャーリーガーは、田澤純一が10人目

宇根夏樹ベースボール・ライター
田澤純一 FEBRUARY 18, 2017(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

今シーズンのマイアミ・マーリンズでは、イチロー田澤純一がプレーする。イチローが日本人選手とチームメイトになるのは、3シーズンぶりのことだ。

イチローはシアトル・マリナーズで、佐々木主浩(2001~03年)、長谷川滋利(2002~05年)、木田優夫(2004~05年)、城島健司(2006~09年)、川崎宗則(2012年/崎の右上は「大」ではなく「立」)、岩隈久志(2012年)とともにプレーした。ニューヨーク・ヤンキースでは、黒田博樹(2012~14年)、五十嵐亮太(2012年)、田中将大(2014年)と一緒だった。長谷川と木田はその前に、オリックス・ブルーウェーブでもイチローとチームメイトになっている。

この9人は、チームメイトとしてイチローと同じメジャーリーグの試合に出場した。五十嵐を除く8人は、同時にフィールドにいたこともある。一方、9人のうち、試合の途中でイチローと交代したのは城島しかおらず、それも、2008年7月10日の1度きりだ。この試合では、8回表に城島に打順が回ってきたところで、イチローが代打に起用された(結果は四球)。

田澤は今シーズン、イチローに代わって出場した初の日本人メジャーリーガーとなる可能性を持つ。少しややこしいが、城島の場合は「日本人選手→イチロー」であり、「イチロー→日本人選手」の交代は前例がない。

最もありそうなのは「投手→イチロー→田澤」だろう。投手の代打としてイチローが打席に入り、その直後の守備から、田澤がイチローと交代して、マウンドに上がるという流れだ。また、ダブル・スイッチによる「イチロー→田澤」も考えられる。

これは「投手→野手」と「野手→投手」の交代を同時に行い、投手に打順が回ってくるのを遅らせ、より長く投げさせようとする方法だ。例えば、イチローが8番、投手が9番にいて、攻撃のイニングがイチローで終わり、直後に田澤が登板するとしよう。「投手→投手」の交代だと、次の攻撃は9番の田澤から始まるが、ダブル・スイッチでイチローと交代すれば、8人が打ち終えるまで田澤に打順は回ってこない。

DH制を採用しているア・リーグでは、基本的に投手は打席に立たないため、ダブル・スイッチは用いられない。マリナーズとヤンキースはア・リーグ、マーリンズはナ・リーグのチームだ。イチローはヤンキースにいた時もダブル・スイッチによる交代を経験しているが、これはナ・リーグのホームで行われたインターリーグの試合で、DH制はなかった。

なお、イチローとともにポストシーズンの試合に出場した日本人メジャーリーガーは、佐々木(2001年)と黒田(2012年)の2人だ。イチローのプレーするチームがポストシーズンに進出したのはこの両年しかなく、今年が3度目となる可能性も、そう高くはない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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