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21世紀初の魔球対決は実現するか。ナックルボーラーとナックルボーラーが先発として投げ合う試合

宇根夏樹ベースボール・ライター
スティーブン・ライト(ボストン・レッドソックス)Jul 25, 2015(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

1944~45年のワシントン・セネタース(現ミネソタ・ツインズ)は、先発投手陣に4人のナックルボーラーを擁していた。だが、昨シーズンのメジャーリーグには、R.A.ディッキー(トロント・ブルージェイズ)とスティーブン・ライト(ボストン・レッドソックス)の2人しか、ナックルボーラーはいなかった。ディッキーは5年続けて200イニング以上を投げているが、ライトは昨シーズンの72.2イニングが最も多い。2人は2014年9月7日に同じ試合で登板しているものの、この時、ライトは先発ではなく2番手としてマウンドに上がった。

最後に、ナックルボーラーが先発として投げ合ったのは、2000年9月15日のティム・ウェイクフィールドとスティーブ・スパークスだ。この試合でスパークスのナックルボールを受けたブラッド・オースマスは、現在、デトロイト・タイガースの監督として采配を揮っている。2003年と2004年にはディッキーとウェイクフィールドの投げ合いもあったが、当時のディッキーはまだナックルボーラーではなかった。

今シーズンは、ナックルボーラー2人による21世紀初の先発対決が、4月9日に実現するはずだった。ところが、7日の試合が雨で流れたレッドソックスは、先発投手の登板日を後ろに1日ずつスライドさせた。ライトは9日から10日へ移り、ディッキーではなくマルコ・エストラーダと投げ合うことになった。

レッドソックスとブルージェイズは4月15~18日に再び対戦する。ESPNは16日にライトとディッキーが先発すると予想している。ただ、これは確定ではない。ブルージェイズのローテーションが順番どおりであれば、ディッキーの登板は4月15日だ。レッドソックスにしても、エースのデビッド・プライスを中4日で起用すると4月16日になり、その場合、ライトは翌17日に投げるか、スキップされることになるだろう。

両チームともア・リーグ東地区に属しているので、これからも対戦機会はあるが、ライトの立場はナックルボールと同じように安定していない。ライトが先発5番手の座を手にしたのは、エドゥアルド・ロドリゲスが2月下旬の練習中に右膝を痛め、開幕をDL(故障者リスト)で迎えたためだ。ロドリゲスは5月中旬の復帰が予定されている。そうなると、ライトがローテーションから外れる可能性は低くない。レッドソックスとブルージェイズが3度目に顔を合わせるのは5月27~29日だ。

ちなみに、ディッキーとライトがナックルボールを教わった師匠は、それぞれ違う。ディッキーはチャーリー・ハフ、ライトはトム・キャンディオッティの指導を受けた。ハフとキャンディオッティは、先発として3試合で投げ合っている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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