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2016年のMLB開幕投手は彼らだ!! フェリックスは8年連続、ハービーは初めて開幕戦のマウンドへ

宇根夏樹ベースボール・ライター
マット・ハービー(ニューヨーク・メッツ) Jul 11, 2015(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

今シーズンの開幕戦で先発する30投手のうち、半数の15投手は昨シーズンも開幕投手を務めた。コール・ハメルズ(テキサス・レンジャーズ)とデビッド・プライス(ボストン・レッドソックス)は、それぞれフィラデルフィア・フィリーズとデトロイト・タイガースの開幕投手として昨シーズンの幕を開けた。ハメルズは今シーズンが2年連続3度目、プライスはタンパベイ・レイズ時代から数えて4年連続5度目となる。フェリックス・ヘルナンデス(シアトル・マリナーズ)は今シーズンで8年連続9度目。このストリークは継続中では最も長い。フェリックスに次ぐのは、6年連続6度目となるクレイトン・カーショウ(ロサンゼルス・ドジャース)だ。ジャスティン・バーランダー(タイガース)は8度目だが、昨シーズンは故障で出遅れ、7年続けていた開幕投手が途切れた。

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一方、今シーズン初めて開幕投手を務める投手は9人いる。

マット・ハービー(ニューヨーク・メッツ)については、順当なところだろう。メッツにはジェイコブ・デグロムもいるが、彼には妻の出産予定日が4月5日という事情があった(「メッツは開幕2戦目に先発投手を2人起用する!? その相手は昨年のワールドシリーズで敗れたロイヤルズ」)。デグロムは開幕3戦目、4月8日のホーム・オープナー(ホーム開幕戦)で投げる予定だ。ハービーとエディンソン・ボルケス(カンザスシティ・ロイヤルズ)は、昨年のワールドシリーズ第1戦と第5戦でも投げ合った。

マーカス・ストローマン(トロント・ブルージェイズ)とギャレット・リチャーズ(ロサンゼルス・エンジェルス)が開幕戦に投げることにも、驚きはない。ストローマンは24歳と若く、昨シーズンは故障のために9月まで投げられなかったが、今シーズンはエースとして期待されている。エンジェルスでは、開幕投手を6年続けてきたジェレッド・ウィーバーに衰えが見えつつあり、24歳のアンドルー・ヒーニーはまだエースになっていない。ヒーニーは開幕2戦目に登板する。来シーズンはリチャーズとヒーニーの順序が入れ替わるかもしれない。ちなみに、リチャーズは初の開幕投手だが、2013年の開幕戦でウィーバーに次ぐ2番手としてリリーフ登板している。

タイソン・ロス(サンディエゴ・パドレス)も過去2年の実績からすれば妥当ながら、パドレスにはジェームズ・シールズもいる。シールズは昨シーズンのパドレスを含め、過去8年に7度の開幕投手を務めてきた。ロスが開幕戦に起用される理由には、シールズの去就があるのかもしれない。ロスの指名は2月中旬だったが、シールズには3月下旬に入ってからトレードの噂が浮上している。スポーツノートのジェシー・リードによれば、パドレスはパブロ・サンドバル(レッドソックス)に興味を示しているという。

ウェイイン・チェン(陳偉殷/マイアミ・マーリンズ)の場合は、もっと明確な理由がある。エースのホゼ・フェルナンデスはトミー・ジョン手術から復帰して初のフルシーズンとなるため、マーリンズは投球回を180イニング前後にとどめるつもりでいる。チェンの開幕投手はそれに伴うものだ。

メジャーリーグ12年目にして初めて開幕投手を務めるアービン・サンタナ(ミネソタ・ツインズ)は、ベテランの経験値とスプリング・トレーニングで好調だったことが買われたようだ。ツインズ1年目の昨シーズン、サンタナは開幕直前に薬物陽性反応で80試合の出場停止を科されたが、フィル・ヒューズが開幕投手に指名されたのはその1ヵ月以上前だった。

ウィリー・ペラルタ(ミルウォーキー・ブルワーズ)の開幕投手には疑問も残る。昨シーズンと今春のスプリング・トレーニングを見る限りでは、ジミー・ネルソンの方がふさわしい。ブルワーズには、2011年にドラフト全体12位で入団したテイラー・ヤングマンもいる。3人とも球団生え抜きの26歳だ。ただ、ペラルタでなく他の2投手であっても、マディソン・バムガーナー(サンフランシスコ・ジャイアンツ)とのマッチアップは荷が重そうだ。

ライセル・イグレシアス(シンシナティ・レッズ)とジェレミー・ヘリクソン(フィリーズ)は同じ開幕戦で投げ合う。レッズでは、ホーマー・ベイリーが昨年5月にトミー・ジョン手術を受けており、復帰は6月以降になる見込み。加えて、開幕投手に予定されていたアンソニー・デスクラファーニが3月下旬に脇腹を痛め、イグレシアスに役目が巡ってきた。ヘリクソンに関しても、他に適当な投手がいないという、消極的な選ばれ方だろう。フィリーズの先発投手陣は、覚醒前の若手と彼らが台頭するまでのつなぎに過ぎないベテランで構成されている。ヘリクソンは2011年の新人王で、年齢もまだ28歳ながら、ここ3年はいずれもシーズン防御率4.50以上と低迷している。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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