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3月はキューバで2つのビッグ・イベント。盛り上がりはレイズ戦よりもストーンズのコンサートが上!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ローリング・ストーンズ  Jul 12, 2012(写真:Rex Features/アフロ)

3月1日、キューバのハバナで行われる2つのビッグ・イベントが発表になった。

ローリング・ストーンズはオフィシャル・サイトで、3月25日のコンサートを告知した。MLB機構と選手会は、3月22日にタンパベイ・レイズとキューバ・ナショナル・チームがエキシビション・ゲームを行うことを正式発表した。

ストーンズのコンサートは初めてだが、MLBのチームが試合をするのは、キューバが1962年にプロ・スポーツを禁じて以来2度目だ。前回は1999年3月28日に、ボルティモア・オリオールズがキューバ・チームと対戦した(両チームは5月3日にボルティモアでも戦った)。今回も17年前と同じ球場、エスタディオ・ラティーノアメリカーノを舞台とする。

一つ惜しい気がするのは、レイズにキューバ出身の選手がほとんど見当たらないことだ。40人ロースターには誰もおらず、ノン・ロースター・インバイティー(キャンプ招待選手)にも、デイロン・バローナしかいない。

バローナは28歳の外野手。昨年5月にレイズとマイナーリーグ契約を交わし、昨シーズンはA+とAAでプレーした。キューバ行きのメンバーに含まれる可能性は、皆無ではないものの、そう高くない。

17年前ならともかく、今回はキューバから亡命した選手がチームにいてもよかったのではないか。昨年12月、MLB機構と選手会が親善を目的として行ったキューバ・ツアーには、キューバ出身選手も参加していた。ヤシエル・プイーグ(ロサンゼルス・ドジャース)、ホゼ・アブレイユ(シカゴ・ホワイトソックス)、アレクシー・ラミレス(現サンディエゴ・パドレス)、ブライアン・ペーニャ(セントルイス・カーディナルス)がそうだ。

他にも、ヨエニス・セスペデス(ニューヨーク・メッツ)やホゼ・フェルナンデス(マイアミ・マーリンズ)、アロルディス・チャップマン(ニューヨーク・ヤンキース)をはじめとして、キューバ出身の現役メジャーリーガーは数多くいる。

ニューヨーク・タイムズ紙のマイケル・S・シュミットが昨年11月に報じた記事によると、メッツ、ヤンキース、ドジャースなど多くのチームが名乗りを上げたため、コミッショナーのロブ・マンフレッドは抽選を行い、自身の手で、レイズと記してあるボールを箱から取り出したという。抽選なので仕方がないとはいえ、キューバン・メジャーリーガーの凱旋帰国という盛り上がりの要素を、コミッショナー自らが拭い去ってしまったようにも見える。

なお、メジャーリーガーと違い、ストーンズのメンバーには最初から、キューバ出身者はいない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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