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ホームラン・ヒッターのアメリカン・ドリーム。今日はランボルギーニ、明日はアルファ・ロメオ、明後日は…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ポラリス・スリングショット(東京モーターショー2015より)(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

ラルフ・カイナーは言った。

「ホームラン・ヒッターはキャデラックに乗り、シングル・ヒッターはフォードに乗る」

元ネタはチームメイトの発言らしいが、これはカイナーの名言として広く知られている。カイナーは1946年から、7年続けて本塁打王を獲得した。そして、キャデラックに乗っていた。

ヨエニス・セスペデス(ニューヨーク・メッツ)も、どちらかに分類すれば、間違いなくホームラン・ヒッターに入る。2013、14年はオールスター・ゲームのホームラン・ダービーで続けて優勝し、昨シーズンはデトロイト・タイガースとメッツで計35本塁打を放った。

ただ、車に関する意見は、カイナーとは違うようだ。2月21日と22日、セスペデスはフォード・F-250に乗って、スプリング・トレーニングに現れた。

フォードと言っても、カイナーのセリフにあるような大衆車ではなく、いかついピックアップ・トラックだが、カイナーとの相違はそこではない。

23日はポラリス・スリングショット、24日はランボルギーニ・アヴェンタドール、25日はアルファ・ロメオ・8Cコンペティツィオーネ、26日はジープ・ラングラー、27日はポラリス・スリングショット。

セスペデスは連日、違う車でやってきた。前が2輪、後ろが1輪のスリー・ホイーラー(3輪)であるスリングショットにしても、23日と27日は別の車だ。一方はグレー地に赤、もう一方は黒地に青のカラーリング。また、6台ともカスタムメイドを施してある。

セスペデスが、ESPNのアダム・ルービンら報道陣に語ったところによれば、キューバにいた頃は車を持っておらず「バイクか徒歩」だったという。

これこそ、アメリカン・ドリームと呼ぶべきか。

同じキューバンのヤシエル・プイーグ(ロサンゼルス・ドジャース)も負けてはいない。TMZスポーツによると、プイーグはロビンソンR44というヘリコプターの購入を考えているらしい。それで球場に行くことを計画しているようだ。

ただ、こちらの「通勤」は実現しなさそう。

ロサンゼルス・タイムズ紙のアンディ・マカローは、こうツイートしている。

「ドジャースはヤシエル・プイーグに、ヘリコプターでドジャー・スタジアムに来ることは、理論上、無理だと告げた。連邦法に抵触するというのが、連邦航空局の見解だ」

【3月2日:追記】

3月1日、セスペデスはチームメイトのノア・シンダーガードとともに、それぞれ馬に乗って現れた。メッツのオフィシャル・ツイッターによれば、シンガーガードのアイデアだという。シンダーガードはバッティング・ヘルメットをかぶっていたが、セスペデスはカウボーイ・ハットで決めていた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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