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2015年のMLBを振り返る(6)監督の交代:マッティングリーはドジャースからマーリンズの監督へ

宇根夏樹ベースボール・ライター
ドン・マッティングリー(左)とテリー・コリンズ October 9, 2015(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

全体の約4分の1にあたる7チームは、来シーズンの開幕戦で、今シーズンとは異なる監督が指揮を執る。これは、2014-15年よりも1チーム多い。今シーズンは4チームの監督が途中で代わり、オフにも5チームの監督が交代。マイアミ・マーリンズとサンディエゴ・パドレスは、そのどちらにも当てはまる。

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ミルウォーキー・ブルワーズとフィラデルフィア・フィリーズは、シーズン途中に就任した監督が来シーズンも続投する。ブルワーズは開幕1ヵ月足らずでロン・レネキー監督を解任し、GM特別補佐を務めていたクレイグ・カウンセルを後任に据えた。レネキーは8月にロサンゼルス・ドジャースの三塁コーチとなり、オフに入るとドジャースの監督候補に挙げられていたが、ロサンゼルス・エンジェルスの三塁コーチに就任した。ブルワーズの監督となる前に、レネキーはエンジェルスで11年間、コーチを務めていた。最初の6年間は三塁コーチ、その後の5年間はベンチコーチ。当時も今も、エンジェルスの監督はマイク・ソーシアだ。フィリーズは6月下旬にライン・サンドバーグ監督の辞任を受け、三塁コーチのピート・マッカニンを暫定監督に指名。9月下旬に暫定の肩書きを外し、正式な監督とした。

5月半ばにマイク・レドモンド監督を解任したマーリンズでは、GMのダン・ジェニングスが指揮を執った。マーリンズはレギュラーシーズンが終わった数日後にジェニングスのGM復帰を発表したが、その後もジェニングスがGMの仕事に携わることはなく、10月下旬にGMを解任された。同じ日の数時間前には、ドジャースの監督だったドン・マッティングリーの監督就任が決まった。GMの仕事については、ベースボール運営部門の長であるマイケル・ヒルが遂行するという。ジェニングスが監督を務めている間も、ヒルはその役割を担っていた。

パドレスは6月半ばにバド・ブラック監督を解任し、その日の指揮をベンチコーチのデーブ・ロバーツに執らせた後、傘下のAAAで監督をしていたパット・マーフィーを暫定監督に据えた。パドレスはレギュラーシーズンが終わったその日に、マーフィーの続投はないことを発表。10月下旬、アリゾナ・ダイヤモンドバックスの三塁コーチだったアンディ・グリーンを新監督に迎えた。ブラックは10月下旬にワシントン・ナショナルズの監督就任が報じられたが、最終的な契約条件が折り合わず、エンジェルスのフロント・オフィスで働くらしい。レネキーと同じように、ブラックもパドレスの監督に就任するまではエンジェルスにいて、投手コーチを務めていた。

ナショナルズとシアトル・マリナーズはレギュラーシーズンが終わった数日後に、それぞれマット・ウィリアムズ監督とロイド・マクレンドン監督を解任した。マリナーズは10月下旬、エンジェルスのGM補佐だったスコット・サービスを新監督に迎えた。マリナーズのジェリー・ディポートGMは、7月頭に辞任するまでエンジェルスでGMを務めていた。ナショナルズはブラックの一件を経て、11月初旬、シンシナティ・レッズ前監督のダスティ・ベイカーを新監督に選んだ。

ドジャースはディビジョン・シリーズ敗退の1週間後に記者会見を開き、ベースボール運営部門の長を務めるアンドルー・フリードマンが、マッティングリー監督とは「互いに違う道を歩むことになった」と説明した。新監督の候補には、レネキー、ブラック、ロバーツの他に、ゲーブ・キャプラー(ドジャース選手育成部長)、ティム・ウォラック(ドジャース・ベンチコーチ)、デーブ・マルティネス(シカゴ・カブス・ベンチコーチ)、ボブ・ゲレン(ニューヨーク・メッツ・ベンチコーチ)、カーク・ギブソン(ダイヤモンドバックス前監督)、ダリン・アースタッド(ネブラスカ大リンカン校・ヘッドコーチ)が挙がっていたが、11月20日時点ではロバーツとキャプラーの2人に絞られたようだ。

なお、昨シーズンの開幕戦で采配を揮い、今シーズンの開幕戦でそこにいなかった6人のうち、ジョー・マッドン(タンパベイ・レイズ前監督)はカブスへ移り、先日、最優秀監督に選ばれた。マッドンはレイズ時代の2008、2011年にも受賞しており、史上7人目の両リーグ受賞者となった。マッドンに追い出される形となったリック・レンテリア(カブス前監督)はシカゴ・ホワイトソックスのベンチコーチ、ボー・ポーター(ヒューストン・アストロズ前監督)はアトランタ・ブレーブスの三塁コーチを務めた。ギブソンとロン・ガーデンハイヤー(ミネソタ・ツインズ前監督)は今シーズン、どこにも所属せず。ロン・ワシントン(テキサス・レンジャーズ前監督)は5月下旬にオークランド・アスレティックスの内野インストラクターに就任し、8月下旬に三塁コーチとなった。ワシントンはレンジャーズの監督となる前に、アスレティックスの三塁コーチを10年間(1996年の一塁コーチを含めると11年間)にわたって務めていた。

「2015年のMLBを振り返る」

(1)ノーヒッター:「セブンス・ヘブン」に2度関わった投手は2人

(2)サイクルヒット:ベルトレーは史上最多、ケンプは球団初

(3)野手の登板:イチローの防御率はワースト4位タイ

(4)トリプル・プレー:ベース上の転倒がもたらした三重殺も

(5)1試合3本塁打:チームメイトが泣いた試合の3発は勝利につながらず

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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