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50代で現役復帰のフリオ・フランコは異例ながら、引退後にカムバックしたメジャーリーガーは皆無ではない

宇根夏樹ベースボール・ライター

フリオ・フランコがフィールドに帰ってくる。ユナイテッド・ベースボール・リーグのフォートワース・キャッツが、選手と打撃コーチの兼任として、フランコと契約したことを発表した。キャッツのレギュラーシーズンは5月20日からスタートする。

フランコの年齢は今ひとつはっきりしないが、55歳にはなっているらしい。独立リーグとはいえ、畏れ入るしかない。キャッツで監督を務めるマイク・マーシャルは54歳だ。ちなみに、時期こそ違うものの、フランコもマーシャルも日本プロ野球にいたことがある。フランコは1995年と1998年に千葉ロッテ・マリーンズ、マーシャルは1992年に日本ハム(現・北海道日本ハム)・ファイターズでプレーした。

コーチ兼任であることからしても、フランコにメジャーリーグ復帰をめざす気はないと思われる。さすがに、契約しようという球団も出てこないだろう。50代のメジャーリーガーは、1980年に54歳でプレーしたミニー・ミノーソを最後に途絶えている。そのミノーソにしても、1980年の出場は代打の2打席きりだった(フランコは48~49歳だった2007年にニューヨーク・メッツとアトランタ・ブレーブスで計55試合に出場し、一塁や三塁の守備にもついた)。

だが、どの球団にも所属せず、プレーしないまま過ごした後に、復帰を試みるメジャーリーガーは珍しくない。そして、復帰を果たした選手もいる。現在、メッツでプレーしている40歳のボビー・アブレイユは、2012年のシーズン終了後にFAとなり、2013年はそのままプレーしなかった。アブレイユは2013年10月に母国ベネズエラのウィンター・リーグで再始動。フィラデルフィア・フィリーズとのマイナー契約と解雇を経て、メッツとマイナー契約を交わし、メジャーリーグへ戻ってきた。

アブレイユは引退を表明してはいなかったが、一度は引退を宣言しながら復帰した例も皆無ではない。記憶に新しいところではアンディ・ペティットがそうだし、現在はフィリーズで監督をしているライン・サンドバーグも、1994年6月に34歳で引退したものの、翌年10月に復帰を表明。そこから、レギュラーとして2シーズンを過ごした。

2014年4月には、ダーネル・マクドナルド、ジェイソン・バートレット、クリス・スナイダー、チャド・トレーシー、クレイ・ヘンズリーらが、現役引退を表明するか、引退する意向を示した。5月に入ってからも、マット・トレーナーとクリス・ゲッツが引退を宣言している。

ただ、彼らのうち、38歳のトレーナー以外は全員35歳以下で、ゲッツに至っては30歳にしかなっていない。いずれも、再びプレーしても不思議ではない。また、かつてオークランド・アスレティックスで「ビッグ3」の一人として鳴らした36歳のマーク・マルダーは、今年2月に左アキレス腱を断裂し、6年ぶりの復帰こそ叶わなかったが、再びマウンドに立つことをあきらめてはいないという。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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