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トーリの背番号が欠番に。他球団には投手の使用例もあるが、ヤンキースの1ケタ背番号は2014年が見納め

宇根夏樹ベースボール・ライター

5月8日、ニューヨーク・ヤンキースが新たに球団殿堂へ迎え入れる顔ぶれを発表した。2014年はジョー・トーリ、リッチ・ゴセージ、ティノ・マルティネス、ポール・オニールの4人が殿堂入りし、ヤンキー・スタジアムのモニュメント・パークにプラークが飾られる。2015年はバーニー・ウィリアムズが彼らに続くという。

セレモニーの日はそれぞれ違い、ティノは6月21日、ゴセージは6月22日、オニールは8月9日、トーリは8月23日に行われる。トーリは併せて、1996~2007年に監督を務めていた時の背番号「6」も永久欠番となる。これにより、来シーズンからヤンキースでは1ケタ(1~9)の背番号が姿を消す。1ケタの永久欠番は以下の通り。今シーズン限りでユニフォームを脱ぐデレク・ジーターの背番号「2」も永久欠番になることは間違いなく、それまでの間に背負おうとする者もいないだろう。背番号「6」は2008年以降、誰もつけていない。

■ヤンキースの1ケタ永久欠番

1 ビリー・マーティン

3 ベーブ・ルース

4 ルー・ゲーリッグ

5 ジョー・ディマジオ

6 ジョー・トーリ

7 ミッキー・マントル

8 ビル・ディッキー/ヨギ・ベラ

9 ロジャー・マリス

ヤンキースとは対照的に、1ケタの永久欠番が一人もいない球団もある。そのうち9球団はエクスパンションによって1961年以降に誕生しているが、シカゴ・カブスの歴史はヤンキースよりも長い。

ただ、出場している野手全員が背番号1ケタという、1929年にヤンキースが背番号をつけ始めた当時のようなことは、まず起きなくなっている。同一シーズンに背番号「1」から「9」までの9選手――同時ではないが複数の選手が同じ背番号ということもあるので、あるいはそれ以上の選手――がプレーした球団でさえ、2010年のトロント・ブルージェイズが最後だ。

この年のブルージェイズには、1929年当時には見られなかった背番号1ケタの投手もいた。9月にメジャーデビューしたカイル・ドレイベックが、背番号「4」をつけていた。ドレイベックは2014年もブルージェイズにいて、メジャーリーグではなくAAAで投げているが、こちらでも背番号「4」のユニフォームを着ている。

ドレイベックの前にも背番号1ケタの投手はいたし、2012年にはアレックス・ホワイトが、コロラド・ロッキーズで背番号「6」を背負って23試合に登板した。現在、ホワイトはヒューストン・アストロズにいるが、背番号は「43」で、2013年4月に受けたトミー・ジョン手術からまだ復帰していない。

背番号1ケタの投手が非常に珍しいのは、ヤンキースが最初に背番号を決めた時、打順をそのまま背番号にしたからという説がある。1929年の開幕戦におけるヤンキースのスターティング・ラインナップは、背番号「1」から「8」が、1番打者から8番打者まで順序よく並んでいた。この年、投手で最も若い背番号は、ハーブ・ぺノックの「11」だった。

ちなみに、ヤンキースの1ケタ永久欠番9人にジーターを加えれば、ラインナップは組める。4人いる外野手のうち、ルースをマウンドに立たせ、トーリとジーターを三遊間コンビにして、背番号「2」の捕手2人のどちらかをDHに据えれば、10人全員を同時に起用できる。もっとも、この場合はルースが打てなくなってしまう。打力を考えると、二塁を守るマーティンの代わりにDHを起用できればいいのだが、DHは投手とセットでしか使えない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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