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ロッテ清田の契約解除が提起する処分における公平・適正

豊浦彰太郎Baseball Writer
(写真:kawamura_lucy/イメージマート)

ロッテ球団から清田育宏が契約解除処分を受け、自由契約選手となった。このことは、選手の問題行為に対する処分の在り方や彼らの権利について、少なからず問題を提起したと思う。

処分の対象事象は何だったのか?

球団発表では、処分理由は「度重なる不適切な行動及びチームに対する背信行為」とややぼかした表現になっており、「無期限謹慎処分の解除直後に再び球団ルールに反する行動を行っていたこと」に鑑みたとしている。処分を報じるNHKのニュースでは、球団ルールとは「新型コロナ感染拡大防止に向けた不要不急の外出を控える」、というものだそうだが、本当にこのルールに反する行為が理由だったのだろうか。

というのも、今年1月からの謹慎処分は、写真週刊誌が昨年9月の遠征先での同選手の知人女性との外食を報じたことを受けてのもので、今回の契約解除処分も同メディアの報道直後だからだ。ゴシップ報道が付いて回ることを懸念してのものではないかとも勘ぐれる。仮に昨年9月にせよ、謹慎解除後の今回にしても、外出相手が不倫相手ではない、例えば同性の外部知人であっても、球団は同様に問題視しただろうか。

曖昧表現のルールにおいて処罰は可能か?

「不要不急の外出を控える」という球団ルールは、この時勢当然だとは思うが、何が「不要不急」なのか?「控える」という自主性を重んじた表現にどこまで拘束力はあるのか?という疑問もある。ルールの表記はあくまでファジーにしておくことは良くあるが、今回のように実際に極めて厳しい処罰を下す場合は、あらかじめその定義は明確に示されていなければならないと思う。そして、そのルールと定義は球団の選手会との事前の合意があるべきだと思うが、その点はどうだったのか。

処分の重さは適切か?

今回の清田の行動は、倫理的問題を切り離し単純に守ることが求められているルールと実際の行動との関係で捉えるなら、「門限破り」と大差ないとも言えなくもない。不倫は恥ずべき行為だが、当事者間のみの問題であり法に抵触するものではない。ゴシップメディアから書き立てられても、球団は「個人で解決すべき問題」として取り合わない手もあったと思う。感染拡大防止の観点からは褒められた行為ではないが、大人数での会食やパーティーに参加した政治家や医師会会長も、謝罪こそしたが再起不能になるようなペナルティは受けていない。

球界では過去数年の間にも決して小さくないスキャンダルがあった。それらのうち、今回の清田同様の契約解除以上の処罰を受けたのは、れっきとした犯罪者のみだ。賭博行為や闇カジノへの出入りでも、直接的に野球賭博に関与した者以外は、ほとんどは不問に付された。そうすると清田への処分の適正さは大いに議論の余地がある。

異議申し立ての機会はないのか?

もちろん、清田がこの処分を不服とするなら訴訟を起こすことはできる。しかし、裁判はとにかく時間が掛かる。仮に清田がそこで勝利を得ても、そのころにはもはや現役復帰は不可能だろう。やはり野球界の中に、処分に対する異議申し立てを起こせる機能が必要だ。形式上は現在も存在しているのかもしれないが、少なくともワークしてはいない。異議申し立てが可能で、中立な調停人ができるだけクイックに裁定を下すことは、公正な処分を促す効果ももたらすはずだ。少なくとも現在の野球界においては、選手の権利が守られているとは言えない。

Baseball Writer

福岡県出身で、少年時代は太平洋クラブ~クラウンライターのファン。1971年のオリオールズ来日以来のMLBマニアで、本業の合間を縫って北米48球場を訪れた。北京、台北、台中、シドニーでもメジャーを観戦。近年は渡米時に球場跡地や野球博物館巡りにも精を出す。『SLUGGER』『J SPORTS』『まぐまぐ』のポータルサイト『mine』でも執筆中で、03-08年はスカパー!で、16年からはDAZNでMLB中継の解説を担当。著書に『ビジネスマンの視点で見たMLBとNPB』(彩流社)

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