「ジョーンズ(オリックス)か、それ以外か」プロ野球今季の大物新外国人選手を格付けする

ジョーンズは2017年WBCでの米国初優勝メンバーでもある。(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

今季のプロ野球には、ジョーンズ(オリックス)、パーラ(巨人)ら大物元メジャーリーガーが加わった。彼らを彼の地での実績や、受賞歴、生涯報酬で格付けしてみた。

いよいよ、明日からプロ野球もキャンプインだ。今季は、多くの大物メジャーリーガーが流れてきた。

通算282本塁打のアダム・ジョーンズ(オリックス)、2015年世界一のロイヤルズでリードオフだったアルシデス・エスコバー(ヤクルト)、20本塁打以上3度のジャスティン・ボーア(阪神)などだ。他にも、巨人入りのジェラルド・パーラは登場曲「ベイビー・シャーク」でカルトヒーローになった人気者だし、DeNAのタイラー・オースティンは、2016年に今をときめくあのアーロン・ジャッジ(ヤンキース)とともに、新人初打席2者連続本塁打を達成したことで大きな話題になった。ソフトバンクのマット・ムーアは、デビュー時には将来メジャーを代表する左腕投手になり得る素材として持てはやされた。

ここでは、彼らを「格付け」してみたいと思う。「格」という漠然とした概念は、多くの要素で形成されている。野球選手の場合、一般的には打率や本塁打、打点などの打撃3部門の通算成績(投手の場合は防御率、勝利数、奪三振数か)だろうが、近年は野手と投手を同じ基準で比較できるWAR(メジャー最低レベルの選手に比べどれだけ勝利に貢献したかを示す)という指標がある。また、獲得タイトルや受賞歴、球宴選出回数なども箔付けには重要だ。プロである以上、サラリーも無視できない。これまでに稼いだ累計金額と、最も高かった年の金額もその選手の球歴の証だ。これらを総合的に判断した。なお、あらかじめお断りしておくが、あくまでも彼らを元メジャーリーガーとして格付けしているわけで、今季どれだけ活躍すると考えるかは、全く概念の異なる議論だ。

カテゴリー1. メジャーでの成績

ここでは、伝統的な打撃、投手指標は無視した。野手の安打数や本塁打数の価値を、投手の勝利数と比較することはできない。よって、ここではWARを採用する。彼ら6人を通算WARの順に並べると以下のようになる。

ジョーンズ(32.1)

パーラ(11.3)

エスコバー(10.1)

ムーア(5.6)

ボーア(4.4)

オースティン(0.6)

やはりWARも積み重ねの指標だけに、メジャーで14年を過ごし、うち12年は基本的にレギュラーだったジョーンズの数値が抜きん出ている。しかし、だとするとエスコバーの数値の低さは驚きだ。彼もメジャー11年で9年間はレギュラー、しかも過去3度全試合(162試合)出場を果たしているからだ。このナゾの答えは、彼の低い出塁率にある。レギュラーとしての9年間中7度は3割未満で、これは致命的と言って良い。通算本塁打わずか41本が示す長打力の欠如も影響している。昨季はずっとマイナー暮らしだったのもうなずける。

20本塁打以上のシーズンが3度もあるボーアも意外に低い。左投手に弱いため、それらのシーズンにおいても基本的に相手先発投手が左腕の場合はスタメンから外れるなど、出場機会が限られたためだ。そう言えば、かつて巨人に在籍したギャレット・ジョーンズもメジャー122発ながら通算WARは3.0と信じられないくらい低かった。彼の場合は、エスコバー同様に四球が少なく出塁率が低かったためだ。トラディショナルな指標は選手の真の価値を必ずしも伝えてはいないのだ。投手のムーアはデビュー当時の前評判からすると、結局花開かず都落ちとレッテルを貼らざるを得ない数値だ。オースティンも、華やかなデビュー以降はジャッジと正反対のキャリアであることが分かる。

カテゴリー2. 通算サラリー

プロである以上、稼ぎはその選手の価値の象徴だ。メジャーでは原則として3年以上在籍しないと年俸調停権が得られない。そして、FA権を有するには原則6年掛かる。したがって、最初の3年間はどんなに素晴らしい成績を残しても、メジャー最低年俸程度しか得られないケースが多い。そして本格的にスーパーなサラリーを獲得できるのは、FA権を得て自由競争市場に打って出てからだ。カッコ内の数値は、通算サラリー(マイナー契約時を除く)と自己最高額だ。

ジョーンズ(9852万ドル/18年1733万ドル)

パーラ(4237万ドル/18年1000万ドル)

ムーア(3025万ドル/18年900万ドル)

エスコバー(2558万ドル/17年650万ドル)

ボーア(699万ドル/18年340万ドル)

オースティン(111万ドル/19年57万ドル)

さすが一線級として14年のキャリアを積んだジョーンズの額は凄い。仮に1ドル110円で計算すると、100億円を大きく超えてしまう。税金はさておき、サラリーマン的基準を当てはめ1年間1000万円でつつましやか?に暮らすと、使い切るまで1000年!も掛かってしまう。1000年前というと、日本はまだ平安時代だ。

あくまでジョーンズとの比較で述べるなら、パーラは11年のキャリアで1400試合以上に出場しながらあまり高額ではない。これは通算88本塁打&OPS.727という凡庸な打撃成績と、それによる低いWARのせいだ。これは、エスコバーにも言えることだが、古い格言を引用するなら「シングルヒッターはフォードに、ホームランバッターはキャデラックに乗る」のがメジャーなのだ(現在は、圧倒的に欧州製高級車が多いが)。

そのホームラン打者のボーアは、本格的に稼げるようになる前にお払い箱になってしまった。ムーアは活躍年数と実績の割には結構稼いでいる。これはレイズでのデビュー直後に、当時の同球団の常套手段であった、見込みのある若手を長期契約で思い切って囲い込む戦略の恩恵だ。メジャー公式戦で3試合しか投げていない時点で、5年1400万ドルをオファーされたのだ。オースティンは、最低年俸で2年間を過ごした、ということだ。

カテゴリー3. 表彰・球宴

このカテゴリーは1.のWARとは対極にある評価基準とも言える。コンピューターが計算した冷徹な数値ではなく、人による投票での栄誉だ。数値もさることながら、ファンやジャーナリストにどれだけ「刺さった」かを示している。球宴選出(ASG)、ゴールドグラブ受賞(GG)、シルバースラッガー受賞(SS)等の回数で見てみよう。

ジョーンズ(ASG5回、GG5度、SS1度)

エスコバー(ASG1回、GG1度、リーグチャンピオンシップシリーズ MVP1回)

パーラ(GG2度)

ムーア(ASG1回)

ボーアとオースティンはなし

ここでもジョーンズは別格だ。エスコバーとパーラは守備の評価は高い。しかし、繰り返しになるが、打力、中でもパワーのない野手は今のメジャーでは高く評価されないことが前項の「サラリー」との関連でよく分かる。

結論「ジョーンズかそれ以外か」

3つのカテゴリーで、シンプルに上位から6点、5点、4点・・・と点を割り振り、それを合計すると以下の通りとなる。

ジョーンズ(18)

パーラ(14)

エスコバー(12)

ムーア(10)

ボーア(4)

オースティン(2)

ジョーンズとそれ以外の差は、順位で割り振られたポイント以上に大きい。「ジョーンズか、それ以外か」と表現しても良いだろう。しかし、それでもジョーンズも含めて日本に流れて来る野手に共通の要素がある。それは、早打ち型で出塁率が低い、ということだ。残念ながらこのタイプは現代のメジャーでは、あまり高く評価されない。その点ボーアは比較的良くタマを選ぶが、左投手を攻略できなかったことが致命的だった。

冒頭に記したように、ここでの格付けはあくまで「元メジャーリーガーとして」だ。日本での活躍度合いはこの通りかもしれないし、全く逆かもしれない。それはこれからしっかり見届けたいと思う。