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「ロボ審判」「一塁盗塁」・・・米独立リーグでの実験を通じて占う野球の「未来予想図」

豊浦彰太郎Baseball Writer
数々の話題を提供するアトランティック・リーグではR・クレメンスが登板したことも。(写真:ロイター/アフロ)

ぼくは、成田からダラス・フォートワース空港に向かう機内でこれを書いている。もっとも、ダラスは経由地で最終目的地はペンシルバニア州ランカスターと、ニュージャージー州ブリッジウォーターだ。その2つの都市で、MLBとの提携で数多くの新ルールの実験を行っている独立リーグのアトランティック・リーグのゲームを2試合カバーするのだ。

このリーグで行われている新ルールの全てが、将来MLBで正式導入されるわけではないが、全てが検討の俎上に上っていることは確かだ、それらは以下の通りだ。

ロボット審判

一般的にこう表記されることが多いが、主審が居なくなるわけではない。主審はコンピューターの判定結果をイヤホンで聞くが、その通りにコールする必要は必ずしもない。したがって、判定補助システムだ。

一塁への盗塁

「振り逃げ」時以外でも、打者はボールデッドでない限り隙あらば一塁に向かって走ることが出来る。日米とも「一塁への盗塁」と表記されることが多いが、記録上は盗塁ではない。当初はフィルダーズチョイス(野手選択)だったが、すぐに四球と同様の出塁(英語表記は文字通りWalk)に改められた。

投手交代時以外での選手やコーチ・監督のマウンド訪問禁止

投手が負傷した場合は例外だが、これはぜひMLBでも実施して欲しい。

ワンポイントリリーフ禁止

投手は打者3人に対し投げ終わるか、その回を終了させない限り交代できない(除、負傷時)。これもMLBで実現して欲しい。多すぎる、長すぎるイニング間の投手交代はウンザリだ。

ベースサイズ拡大

15インチ四方から18インチ四方へ。これは主として安全対策で行われる。

攻守交代インターバル短縮

2分5秒から1分45秒へ。攻守交代時は究極のアイドルタイムで、時短においての最重要領域だ。

チェックスィング判定緩和

チェックスィングとは、日本でいうハーフスィングのこと。個人的な印象としては、アメリカは、日本よりこの判定に於いて打者に厳しい。

牽制球時、投手は完全にプレートから足を離す

牽制球を減らそうということ、その結果として、統計学の発展とともに近年めっきり減った盗塁をもっと増やそうというものだ。

極端な守備シフト禁止

内野手はセンターラインより右半分に2人、左半分に2人いなければならない、とするルールで、近年激増している極端な守備シフトを禁止するものだ。これにより、一二塁間に飛んだショートゴロはなくなる。

これらの多くは、より試合時間を短く、かつアクションを多く、という発想によるものだ。ロボ審判は名称のセンセーショナルさだけが独り歩きして報道されている印象があるが、前述の通り判定補助システムでしかない。ぼくは「誤審も野球の一部」と考えたい古いタイプのファンだが、いまや打球の飛距離やアングル、初速、投球のスピン数や変化の角度や幅まで瞬時に計測され、それを元にファンは楽しみ、スカウトは選手を評価する時代だ。ストライク・ボールの判定においても、コンピューター測定の結果を参照するのはごく自然とも言える。

もっとも、一塁盗塁に関しては少なくとも現時点では選手は否定的なようだ。「オレは打つために打席に入っている、一塁に逃げ出すためじゃない」というのだ。これは、独立リーグの選手のほとんどは、なんとかメジャーのスカウトの目に留まりたいとの思いでプレーしていることも大いに影響してると思う(実際、シーズン中でも目立った活躍を見せた選手はどんどんメジャーに引き抜かれる。リーグ運営側もそれを存在意義のひとつとしている)。このあたりの選手の葛藤は大変興味深い。

それらの新ルールに関する、現場やフロント、ファンの声をしっかり取材し、お届けしたいと思う。

Baseball Writer

福岡県出身で、少年時代は太平洋クラブ~クラウンライターのファン。1971年のオリオールズ来日以来のMLBマニアで、本業の合間を縫って北米48球場を訪れた。北京、台北、台中、シドニーでもメジャーを観戦。近年は渡米時に球場跡地や野球博物館巡りにも精を出す。『SLUGGER』『J SPORTS』『まぐまぐ』のポータルサイト『mine』でも執筆中で、03-08年はスカパー!で、16年からはDAZNでMLB中継の解説を担当。著書に『ビジネスマンの視点で見たMLBとNPB』(彩流社)

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