菊池雄星のマリナーズとの「最長7年契約」を、田中将大のヤンキースとの契約と比較しこう解釈する

高校時代からの夢を菊池雄星は叶えたが・・・(写真:岡沢克郎/アフロ)

菊池のマリナーズとの契約は最長7年だ。これを、途中で球団に契約を打ち切る権利が設定されていると解釈すると腑に落ちる。選手に破棄権利が設定されていた田中将大のヤンキースとの7年契約と対比し解説する。

西武ラインズからポスティングでメジャー移籍を目指していた菊池雄星はマリナーズを選んだようだ。注目の契約条件は最長で7年総額1億900万ドルだと報道されている。

菊池の7年契約は「代理人が引き出した好条件」?

3年目終了時点で球団側に4年目以降の優先選択権があるという。最長で7年契約を獲得したのは、「辣腕代理人のスコット・ボラスがかなりの好条件を引き出した」という声もあるが、この契約をどう理解すれば良いのだろうか。

菊池の最初の3年間の年俸は総額4300万ドル(約47億3000万円)。2021年終了時点で球団がオプションを行使すれば4年総額6600万ドル(約72億6000万円)の契約延長が可能となる。つまり、7年総額1億900万ドルの契約になるという。

 一方で、球団が3年目終了時点で4年の契約延長オプションを行使しなかった場合、選手側のオプションで2022年まで契約を伸ばすことが可能。その場合は、年俸1300万ドル(約14億3000万円)になるという。つまり、菊池サイドは最低でも4年総額5600万ドル(約61億6000万円)の契約を確保していることになる。まさに超変則の契約となっている。

出典:1月2日 full-count

球団側が契約の延長権利を留保するのは珍しくないが、それがそれが4年にも及ぶのか異例だ。そもそも、投手との長期契約は避けたいのが普通だ。

契約の詳細は明らかになっていないが、現時点での情報で判断すると以下のようなシナリオだったのではないか。

球団が途中で打ち切れる7年契約では?

ボラスとしては、2013年オフの田中将大とヤンキースとの7年1億4400万ドルをベンチマークとして交渉を進めた(田中の代理人はボラスではないが)。正直なところ菊池には当時の田中ほどの商品性はないので、田中の契約をベースにマイナスαを落としどころとしていた。

ところがマリナーズはそこまでの長期契約は望まない。菊池には過去故障歴もあるからだ。また、再建を進める同球団は2020~2021年あたりにターゲットを設定しており、菊池には3年契約あたりが本来は理想的である。

で、折衷案が出てくる。この最長7年契約は、マリナーズが最短3年をベースに、3年目終了時点で4年目以降のプラス4年間を延長できるのではなく、7年契約をベースとしながらも3年目終了時点で契約をキャンセルできる(オプトアウトという)権利を付加することを引き出した。ただし、その場合菊池にはもう1年のみ契約を延長する権利がある。これであれば、菊池は仮に最初の3年間振るわずマリナーズから契約延長を却下されても、4年目に勝負を賭けることが出来る。4年目に結果を出せば、FAとして市場に打って出る機会は確保できるのだ。

よく知られていることだが、田中の場合は4年目終了時点で選手側にオプトアウトの権利が設定されていた(それが普通だ)。ところが菊池の場合はそれが逆だった。

長期契約は選手、球団双方に望む理由と回避したい理由がある。しかし、どちらかといえば、田中の場合は球団が望む部分の比率が若干大きく、菊池の場合は逆だったと考えることができる。