20本塁打で月間新人王の27歳、ビヤヌエバはなぜ巨人に?

今季20本塁打のパワーには定評がある。(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

巨人がビヤヌエバの獲得を決めた。彼は27歳で今季20本塁打の大砲だ。4月はナ・リーグの月間最優秀新人に選ばれている。年齢的にもこれからピークを迎える時期だ。それでもNPBに「都落ち」するのはなぜか。

今季20発の月間新人王がNPBへ

巨人がパドレスのクリスチャン・ビヤヌエバの獲得を決めた。彼はメキシコ出身の27歳で、今季20本塁打の大砲だ。4月はナ・リーグの月間最優秀新人に選ばれている(ア・リーグはエンジェルスの大谷翔平だ)。年齢的にもこれからピークを迎える時期なので、「よく、巨人は獲れたなあ」と思われたファンも多いのではないか。

パドレス構想との不一致

ぼくは今季ビヤヌエバを4試合ほど現地で見る機会があった。うち3試合は、MLBの国際戦略の一環としてメキシコのモンテレイで5月4~6日に開催されたドジャース戦だった。そして、この時はメキシコ出身のビヤヌエバは、4月の月間最優秀新人に選出された直後ということもあり、シリーズのアンバサダー的な存在だった。

その時の印象は、「粗い打者だなあ」というものだった。緩急の揺さぶりに弱く、追い込まれると外に逃げるスライダーに安易に手が出てしまうのだ。結局、3連戦ではノーヒットで、その後もしばらく低迷が続いた。

若いからしょうがない、と思いたいところだが、今年のメジャーではまだ経験が浅いのに、完成度が非常に高いパワーヒッターの活躍も目立った。先の日米野球で来日した、ロナルド・アクーニャ(ブレーブス)や、ホアン・ソト(ナショナルズ)らは、日米野球でのパフォーマンスはさておき、まだ20歳だと言うのに選球眼には定評があり、カウントによってアプローチを変えるなどのベテランさながらの打撃を見せることに定評がある。彼らと比較するとビヤヌエバは残念ながら「モノが違う」感は否めない。

ビヤヌエバの今季の成績は、110試合で打率.236、20本塁打、46打点。これだけ見ると、穴は大きいがパワーヒッターとしてはまずまずとの評価も可能だ。しかし、彼の弱点は出塁率の低さにある。

メジャーでは打率以上に出塁率が重視される。強打者のポジションである三塁や一塁でレギュラーとして活躍するには.350は最低ラインと言われるが、彼の場合は.299だ。これは致命的と言える。さらに27歳という年齢も、見方を変えれば「ここから大化けする可能性は低い」ということになる。依然として、パドレスとしてはまあまあ重要な戦力だが、何が何でもキープしておくべき選手ではなかった、ということなのだろう。

編成上の問題もある。このあたりは斎藤隆氏の記事に詳しいが、パドレスは低迷を続けているが、一方で若返りは確実に進みつつあり、マイナー組織に有望株がひしめいている。メジャーでは「ルール5ドラフト」という昇格の機会がないマイナーリーガー再発掘の制度がある。彼ら有望株を他球団にこのルールにより獲られてしまうのを防ぐには、メジャー昇格はまだ先でもメジャー登録40人枠に入れておく必要がある。そのためには、だれかを見切らねばならないのだ。

MLBでは評価が低い低出塁率選手

実は、今回のビヤヌエバのようにメジャーでそれなりの実績を残し、年齢的にも衰える時期ではないのに日本にやって来る選手は、多くはないが皆無でもない。

ビシエドはメジャーで20本塁打以上を2度記録しながら26歳で中日に入団した。楽天、巨人で活躍したマギーはメジャーではビヤヌエバ同様に月間最優秀新人に選出されたことがあり、23本塁打を記録したシーズンもあるが、最初の来日は30歳でのことだった。DeNAのロペスはメジャーではオールスター出場の経験もあるが、29歳で海を渡った。

彼らに共通して言えるのは、基本的にフリースィンガーで出塁率が低い、ということだ。21世紀のメジャーでは統計学的な選手評価が発達したが、その結果四球の選べない出塁率の低い打者はとにかく評価されなくなった。

出塁率が極めて重要なのは事実だが、逆に言えばこの弱点を持っているがため不当なまでに低く評価されてしまっている選手も少なくない。その意味では、そんな選手の中にはNPB的視点では貴重な戦力が埋もれているとも言えよう。

辛抱強い起用が活躍のカギか?

その観点では、ビヤヌエバはどうだろう。基本的には粗い選手で器用な印象はない。少なくともしばらくは、制球の良い日本の投手による「高めの4シーム&ボールになるスプリッター」の攻めに手を焼きそうだ。彼の成功の鍵はそこで自らを失わず冷静さを保てるか、そして原監督がどきまで辛抱強く起用し続けることができるかにかかっているような気がする。