Yahoo!ニュース

このままでは現役最終年の松井秀喜同様?「50まで」を目指すイチローはまずはマイナー契約を

豊浦彰太郎Baseball Writer
(写真:ロイター/アフロ)

メジャーリーグのスプリングトレーニングが始まった。大谷翔平の初登板に日米のファンとメディアの注目が集まっている。しかし、メジャーのキャンプ地にイチローの姿はない。

このオフのFA市場は空前の冷え込みで、いまだにスター級も含め約80人が未契約のままだ。しかし、イチローの契約先が決まらないのは、市場の影響も皆無とは言わないが、メインは彼自身への評価のせいだろう。イチローの今後に関しては、日本球界復帰からメキシカンリーグ移籍まで様々な憶測が飛んでいる。あまりにも有名な、彼自身の「50歳まで現役」発言をベースに今後の進路を占ってみたい。

日本球界はありそうでないと思う。イチローがNPBに戻ってくるとしたら、理由はキャリアの最後にプロデビューの舞台に戻りたいというセンティメンタリズムしかぼくには思い浮かばない。その場合、今季から50歳で迎える2024年シーズンまでの長い期間プレーヤーとしてのモチベーションを保てるとは到底思えない。

彼の現在の思いはやはり再びメジャーの舞台に戻ることだろう。その観点からも日本復帰の可能性は低いと思う。開幕後にメジャーのどこかの球団が故障者の発生などで外野手不足になっても、日米間の協定等に阻まれ米移籍は容易ではない。

その点ではやはり米マイナーか独立リーグだろう。マイナーでプレーしていれば、長いシーズンでは必ずどこかで昇格のチャンスは来るものだ。独立リーグも悪くない。そもそも受け入れる方が、そのような腰掛需要への対応を強みに商品性の高いスターにオファーを出すのだから。

とにかくイチローに必要なのは「元気にプレーし好成績を残しています」という状況だ。現時点では、どのメジャー球団も彼を今後予想される状況で評価しようとしている。そうするとやはり44歳の年齢からのさらなる衰えを懸念せざるを得ない。しかし、シーズン中の「火事場」では問題になるのはその時点でのパフォーマンスだ。たとえ、マイナーや独立リーグであっても卓越した成績をマークしていれば、声が掛かる可能性は十分ある。

彼の「50まで」がメジャーでのことを指しているなら、まずはプレーすることだ。4月末にようやく契約先(レイズとマイナー契約)が決まった2012年の松井秀喜の例を挙げるまでもなく、キャンプの時期にブランクを作ってしまうとその後も力を発揮できないケースが多い(松井はその年限りで引退した)。そして、その「仮の」舞台はシーズン中のメジャー移籍が容易なリーグであるべきだ。それはNPBではないことは明白だ。

Baseball Writer

福岡県出身で、少年時代は太平洋クラブ~クラウンライターのファン。1971年のオリオールズ来日以来のMLBマニアで、本業の合間を縫って北米48球場を訪れた。北京、台北、台中、シドニーでもメジャーを観戦。近年は渡米時に球場跡地や野球博物館巡りにも精を出す。『SLUGGER』『J SPORTS』『まぐまぐ』のポータルサイト『mine』でも執筆中で、03-08年はスカパー!で、16年からはDAZNでMLB中継の解説を担当。著書に『ビジネスマンの視点で見たMLBとNPB』(彩流社)

豊浦彰太郎の最近の記事