MLBワールドシリーズ 日本人選手出場の可能性は?(1)苦戦のレンジャース ダルビッシュは望み薄か

2009年 WS 松井秀喜はMVPに輝いた(写真:ロイター/アフロ)

メジャーリーグも球宴を終え、後半戦に突入した。今は、ウェバーを経由しないトレードの期限となる今月末に向けたフラッグディール戦線の真っ只中だ。最終的に10月の戦いに進める10球団はどこか、その中でも頂点であるワールドシリーズに駒を進めるチームはどこか、ペナントレースはここからが一層面白くなる。

ワールドシリーズは選手にとって特別なものだ。ケン・グリフィー・ジュニアやロッド・カルーのように、栄光に満ち溢れたキャリアを誇りながら、ついぞこの檜舞台に縁がなかったスーパースターも少なくない。

一方で日本人選手では、2009年にヤンキースの松井秀喜が打率.615、3本塁打、8打点の活躍でシリーズMVPに輝いた。2013年にはレッドソックスの上原浩治が日本流に言えば胴上げ投手なり、同僚の田澤純一(レッドソックス)も中継ぎとしてシリーズ制覇に多大な貢献を見せた。2005年の井口資仁(ホワイトソックス)はレギュラーとしてフル出場し、2006年には田口壮が貴重なバイブレーヤーとして、カージナルス世界一を支えた。また、世界一には手が届かなかったが、ワールドシリーズを中心選手の1人として戦った2008年の岩村憲一(レイズ)のようなケースもある。今年は、果たしてワールドシリーズの舞台を踏める日本人選手は出るのだろうか。その可能性を考えてみた。

言うまでもないが、選手がワールドシリーズにプレーする前提として、チームがポストシーズンに進出する可能性が高いことが必須条件だ(ポストシーズンで勝ち進めるかどうかは、運やその時点での勢いも必要になってくるため、現時点で戦力を詳細に分析することあまり意味があるとは思えない)。その点では、アストロズの青木宣親とドジャースの前田健太が、ともに所属球団が現在地区優勝争いで独走状態にあるため、可能性大だ。

そして、地区2位のヤンキースの田中将大がそれに続く。上原のカブスも、勝率は現在やっとこさ5割ラインで2位だが、同じシカゴに本拠地を置くホワイトソックスから、フラッグディールの目玉の1人でもあった左腕の先発投手ホゼ・キンターナを獲得し、追撃体制を整えつつある。首位のブルワーズは、若手中心でしょせんサプライズ球団だ。自力では昨季のワールドチャンピオンカブスが大きく上回っているだけに、現在の4.5差(16日現在)を覆し、上原が4年ぶりの「フォール・クラシック」の舞台を貴重な中継ぎ戦力として踏む可能性は十分ある。

ダルビッシュはどうだろう。レンジャーズは現在、首位アストロズとのゲーム差は16.5もあり、地区優勝は絶望的だ。ポストシーズン出場権を得られるワイルドカード2位のレイズには3.0差と一見射程圏だが、レイズとレンジャーズの間には3球団がひしめいており、状況は決して楽観できない。むしろ、ダルビッシュがワールドシリーズに出場の機会を得られるとすると、それはレンジャーズの一員としてではなく、フラッグディールで他の球団に「買われた」場合だろう。それこそ、ヤンキースというシナリオもなくはない。一時期の深刻な状態からは脱し6日のレッドソックス戦も好投したが、今季の田中には全幅の信頼は置けないし、勝ち頭のマイケル・ピネイダが故障で今季の登板はほぼ絶望と見られるからだ。また、先発投手補強の際の最大の狙いだったキンターナを獲り損なった事情もある。

しかし、レンジャーズはダルビッシュ放出には後ろ向きと伝えられている。なぜなら、今年のフラッグディール戦線には、キンターナが消えたとはいえ、ソニー・グレイ(アスレチックス)、ゲリット・コール(パイレーツ)ら有力な先発投手が数多く出回っている買い手市場だからだ。そのため、オフにはFAで故障再発のリスクもあるダルビッシュの場合は、獲得を目指す球団もレンタル移籍と割り切っているはずで、そうなると交換相手に選りすぐりのトッププロスペクトを得るのは難しいと見られるのだ。それなら、レンジャーズとしてもまだポストシーズンが絶望という訳ではないので、このままダルビッシュを戦力として抱え、オフに再契約の意思(クオリファイングオファーという)を表明し、その上でFAとして流出した場合は補償としてドラフト指名権を得る、としたほうが得策かもしれない。

(2)に続く