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「沢村賞の発表は日本シリーズ終了後に」球界全体でこのイベントを盛り上げるべき

豊浦彰太郎Baseball Writer
(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

2015年の沢村賞に広島の前田健太が選出され、26日に発表された。毎年のことながら、この発表は日本シリーズ終了まで待つことができなかったのかな、と思う。

前田は2010年以来2度目の受賞だ。規定の7項目中6項目を満たしている。個人的には阪神の藤浪晋太郎はもちろん、中日の大野雄大ももう少し評価して欲しかったと思うが、まあ選考結果は妥当だと思う。日本ハムの大谷翔平もパ・リーグ3冠はともかく、そもそも投球回数が少ないので落選は致し方ないだろう。

ぼくはこの賞が好きだ。MLBのサイ・ヤング賞のような単なる「最優秀投手賞」ではないところが気に入っている。先発投手かくあるべし、という理想像に照らし合わせ選出するのは今時夢があって良いと思う。

ただし、ずうっと思っていることだが、なぜこの時期に発表するのだろう、との思いは拭い去れない。日本シリーズ終了後ではだめなのか。公式戦での成績をベースに選出するのだから、別にシリーズ終了まで待つ必要はないとの考えもある。しかし、やはり良くないと思う。

これは、候補者が日本シリーズに参加しているかどうかは関係ない。日本シリーズはスポンサー名がその名称に付いたりしているが、それでもNPB最大のビッグイベントだ。球界全体でシリーズを盛り上げるためにも、その間はこのような賞の発表はもちろん、監督の交代などの人事発表も控えるべきだと思う。

さらにいえば、これは日本シリーズ中だけでなく、CS期間中にも言えることだろう。CSの主催は各本拠地球団なので、「他球団の事なんか知るか」ということになるのかも知れない。しかし、日本シリーズはNPBの主催だ。熊崎勝彦コミッショナーはぜひ指導力を発揮し、それを徹底させてほしい。球界全体の利益のために。

かつて、日本シリーズはそれこそ「国民的行事」だったと思う。しかし、その地位や国民的関心度と言う点ではずいぶん低下したと感じている。昨年のシリーズ中のことだ。カーラジオで中継を聴きながらガソリンスタンドに給油で立ち寄ったら、そこの威勢の良いお兄さんが「ホークス強いっすね」と話しかけてきた。別にいつも利用しているスタンドではない。一瞬、えっと驚いたが、「そうか、昔はこんな感じで見知らぬ者同士でも会話がスタートする共通の話題だったよなあ」と、妙にうれしくなった。

ぼくは、日本シリーズにはそうあって欲しいと思っている。そのためには、まず球界がファンの耳目をシリーズに集中させてあげることが大事ではないか。

Baseball Writer

福岡県出身で、少年時代は太平洋クラブ~クラウンライターのファン。1971年のオリオールズ来日以来のMLBマニアで、本業の合間を縫って北米48球場を訪れた。北京、台北、台中、シドニーでもメジャーを観戦。近年は渡米時に球場跡地や野球博物館巡りにも精を出す。『SLUGGER』『J SPORTS』『まぐまぐ』のポータルサイト『mine』でも執筆中で、03-08年はスカパー!で、16年からはDAZNでMLB中継の解説を担当。著書に『ビジネスマンの視点で見たMLBとNPB』(彩流社)

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