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DeNA新オーナーは「女性ならでは」の改革などしなくて良い

豊浦彰太郎Baseball Writer

ベイスターズのオーナーが、春田真氏からDeNA創業者の南場智子氏に代わった。女性のオーナーはNPB史上初だという。

熊崎コミッショナーはこの報を受け「女性の視点も加えた貴重な意見を賜れる」とコメントしたようだ。

失礼極まりないと思う。

南場新オーナーのビジネスパーソンとしての素養とNPBへの貢献を「女性視点での意見が言えること」を第一に考えているということだ。

彼女は企業の代表者だ。ベイスターズという企業の舵を取り収益をあげるという大役を担う立場に在るはずだ。彼女を今後評価する基準は企業経営者としての本来の役目を果たせるかであり、「女性ならでは」の販促策などを提案することではない。女性の観客を増やすための施策は、マーケティング担当者が考えれば良い。

代表者にはもっと高いレベルでのミッションがあるはずだ。

新オーナーは海千山千の人物だろうから、長い経験の中でこの手のコメントには慣れっこだろうが、失礼な話だ。

熊崎コミッショナーのこのコメントを、何の疑問もなく(だと思う)掲載するメディアの感性と人権に関する認識にも呆れざるを得ない。

MLBでは、2003年にメキシコ系のアート・モレノ氏がマイノリティとして初の球団オーナーになった。

その時に、当時のバド・シーリグ・コミッショナーが「ヒスパニックならではの意見を期待したい」などとは発言しなかったのは言うまでもない。

Baseball Writer

福岡県出身で、少年時代は太平洋クラブ~クラウンライターのファン。1971年のオリオールズ来日以来のMLBマニアで、本業の合間を縫って北米48球場を訪れた。北京、台北、台中、シドニーでもメジャーを観戦。近年は渡米時に球場跡地や野球博物館巡りにも精を出す。『SLUGGER』『J SPORTS』『まぐまぐ』のポータルサイト『mine』でも執筆中で、03-08年はスカパー!で、16年からはDAZNでMLB中継の解説を担当。著書に『ビジネスマンの視点で見たMLBとNPB』(彩流社)

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