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デート中の食事マナーで気になることの1位は? 男女の食の相性に関する3つの考察

東龍グルメジャーナリスト
(写真:アフロ)

客足が伸びている飲食店

まん延防止等重点措置も全国的に解除され、飲食店への客足も伸びています。

大手飲食店予約サービスのTableCheck(テーブルチェック)によれば、飲食店約5,900店舗の来店データを集計したところ、2022年3月21日週の来店人数は前週比118.9%になっており、大きな回復傾向にあるということです。

コロナ禍における飲食店の来店・予約件数推移/TableCheck

気軽に外出できるようになり、飲食店に訪れる機会も多くなってきたことでしょう。家族や親類、友人や同僚とはもちろん、デートで食事する機会も増えていると思います。

デートと食ということで、以前気になっていた記事を思い出しました。

デート中に食の相性が悪いと感じる瞬間1位は、食事マナーが違ったとき。特に咀嚼音は嫌われる傾向に。/株式会社Mrk & Co

それは、食事デートをマッチングする婚活・恋活アプリ「Dine(ダイン)」を運営するMrk&Cによるプレスリリースです。

食の相性はお付き合いの判断材料になる

プレスリリースでは「男女の食の相性に関するアンケート調査」が紹介されています。

「食の相性が悪いなと感じるのはどんな時?」「食の相性は、お付き合いする時の判断材料になる?」といった質問に対する回答が掲載されていました。

「食の相性は、お付き合いする時の判断材料になる?」という質問に対しては、男女ともに9割以上が判断材料になると回答。特に女性では4割以上が「重要な判断材料になる」と答えていることからも、食と男女の仲は関係性が高いように思います。

当記事ではアンケート結果に関して、考察していきましょう。

食の相性が悪いと感じる時

「食の相性が悪いなと感じるのはどんな時?」では、男女ともに「食事中のマナーに対する意識」「普段行く飲食店のジャンルや価格帯」「食に対する興味関心の度合い」がトップ3になりました。

食事のマナーについては、デートの時ではなくても気になるところです。

日本料理や西洋料理など、各国料理でマナーが決まっています。ただ、同じ料理のマナーであったとしても、幼少の頃から各家庭において、何を重点に注意されたか、身に付けたかは異なるものです。

したがって、双方ともに完璧なマナーを習得していない限りは、自身が気になるマナーと、相手が気になるマナーに差異があるのが一般的でしょう。

たとえば、肘を付いて食べたり、使っていない方の腕を下げていたり、噛む時に口を開けたり、お椀をすする時に音を立てたりと、マナー違反は色々とありますが、人によってできていることとできていないこと、気になることと気にならないことは異なるものです。

宗教上の禁忌があれば、何を食べてよいかよくないのかといったところから違っています。

「普段行く飲食店のジャンルや価格帯」「食に対する興味関心の度合い」は食に関する嗜好です。食に関心がある方は何万円というお金を払えますが、食に関心がない方であれば数百円で済ませられる食事にこれだけの金額を支払うことが理解できないことでしょう。

共に過ごすにあたって、互いの金銭感覚は重要。食事に対して、人生を豊かに彩る貴重な体験と捉えるか、単に腹を満たすための消費行為と見なすかで、価値観はだいぶ異なります。

ただ、飲食店のジャンルの好みやお酒が飲めるかどうかに関しては、食体験に対する価値の重さが近ければ、あまり影響がないように思います。

デート中の食事マナーで気になること

「食の相性が悪いなと感じるのはどんな時?」で「食事中のマナーに対する意識」が男女共に1位となっていましたが、「デート中の食事マナーで気になることは何?」という質問もありました。

男女共に「食事中にくちゃくちゃ音を立てる」が1位、「お店のスタッフへの態度が悪い」が2位。男性3位が「食事中に携帯電話をいじる」で、女性3位が「話している最中につばを飛ばす」となっています。

食事の際に音を立ててよいのは、たとえば日本料理では、ラーメンやうどん、蕎麦をすする時以外に思い浮かばないでしょう。これは麺類をすする音なので、くちゃくちゃと噛む時の音ではありません。

くちゃくちゃと音が立ってしまうのは、口を開けて咀嚼しているからです。そもそも口の中が見えることは下品とされています。その上、TimeOutの記事によれば、「大きな咀嚼音」は人を最もイライラさせるとあります。

人が最もイラつく音は、食事中の大きな「クチャクチャ」音/TimeOut

口を開けてしまうのは、小さい頃の躾の問題もありますが、口の筋肉が発達していなかったり、歯並びやかみ合わせがよくなかったりすることも理由になります。躾以外の理由では、生きるために必要な食事に関する健康状態がよくないことを意味するので、あまりパートナーにしたいと思わないのかもしれません。

食べられなかったら嫌な食材

「恋人が食べられなかったら嫌な食材は何?」では、男女共に「肉」が1位となっていました。以下、男性「特になし」「お酒」、女性は「野菜」「魚」と異なっているのが興味深いところ。

肉、魚、野菜は人が必要とする基本的な栄養素となり、健康でいるには不可欠なものです。こういったものが食べられない相手に好意を寄せるのは、相手の健康的なリスクを受け入れることにつながるので、忌避されるのではないでしょうか。特に肉に関しては、力の源であるとみなされる食材であり、最近では赤身がヘルシーであり、コラーゲンが美容にもよいと認識されているだけに、譲れない食材であるように思います。

男性の3位が「お酒」になっているのは、晩酌の相手になってもらいたいからではないでしょうか。ただ実際のところ、男女のカップルで、2人共お酒が好きという人はあまり多くないように思います。ひとりはお酒が大好きで、もうひとりは下戸という組み合わせは、全く珍しいことではありません。

男性2位の「特になし」は、お酒も含めて、食べたり飲んだりできないものがあっても気にならないということです。男性は、どうしてもお酒を一緒に飲みたいか、一緒に飲めなくても全く気にならないか、どちらかに二分されるように感じられます。

食の価値観が合う相手との食事

食も性も、生物にとっては本能と強く結びつく重要なものです。相手と一緒になるとなれば、毎日食事を共にすることになるでしょう。それだけに、食事に関する好き嫌いは、男女の相性にも大きく反映されると思います。

男女のパートナーという枠組みに限らず、少しでも食の価値観が合う相手と一緒に飲食店へ訪れ、貴重な食体験を紡いでいただけたらと願っています。

グルメジャーナリスト

1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口で分かりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。

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